2008 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導/強磁性電極を有する単一自己形成InAs量子ドットにおける多体スピン相関の制御
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07F07328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樽茶 清悟 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEACON Russell Stewart 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 半導体物性 / 量子ドット / メゾスコピック系 / 量子コンピュータ / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
本年度は、超伝導電極試料における超伝導電流と近藤効果との相関を系統的に調べるとともに、常伝導/InA量子ドット/超伝導複合接合において、アンドレーエフ束縛状態の検出と基底状態の相転移という新しい知見を見出した。 超伝導電流と近藤効果の相関では、近藤領域で、近藤温度が低い領域では超伝導電流は電子間相互作用により抑制されπ接合的に振る舞うが、近藤温度が高い領域では超伝導電流が大きくなり、正常接合的になっていることを示唆する結果となった。 今度、近藤温度に対する系統的な測定と理論予測との比較を中心に、クーパ対トンネルと近藤効果との相関を解明する。 常伝導/InA量子ドット/超伝導複合接合では超伝導電極とのトンネル結合が常伝導電極とのそれよりも大きく、左右のトンネル結合に非対称性がある領域において、超伝導ギャップエネルギー以下の電圧バイアス下での伝導度の測定を行い、超伝導電極の近接効果によるアンドレーエフ局在励起状態の検出に成功した。このアンドレーエフ束縛状態のゲート電圧依存性から、強い電子間相互作用によりBCS一重項状態から磁気的二重項状態の間で相転移が起こることを実験的に見出した。一連の挙動は数値繰り込み群で予測される理論と定性的によく一致する。一方、左右の電極とのトンネル結合の非対称性が小さい試料では急峻なゼロバイアス異常が観測され、近藤一重項状態が形成されており、かつ超伝導状態では近藤温度が下がるという新しい知見をみいだした。これは超伝導体ではギャップを持つため、局在モーメントの遮蔽に必要な低エネルギー励起が抑制されるためであると考えられる。 Hanle効果の実験のために、微小強磁性電極の形状の設計とInAsドットとの界面を改善するため、Co/Ni二層強磁性電極を準備し、来年度測定を開始する。
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Research Products
(4 results)