2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性官能基を最高表面に組み込んだ多孔性高分子の合成
Project/Area Number |
07F07345
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEO Joobeom 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | ミクロ細孔 / 多孔性錯体 / 金属イオン / ピラー配位子 |
Research Abstract |
本申請課題は、配位子部位に不斉中心や構造柔軟性部位を導入することで細孔表面を修飾し、ゲスト分子に特異的な場を持つ反応性ミクロ細孔物質を構築する事を目指した。柔軟なモチーフと機能性部位を導入することで多孔性錯体(PCP)の細孔の性質をデザインすることは機能発現のための重要な戦略になっている。ピラードレイヤー型の多孔性錯体{[Cd2(pzdc)2L(H2O)2]・5(H2O)・(CH3CH2OH)}n(1;pzdc=2,3-pyrazinedicarboxylic acid;L=2,5-bis(2-hydroxyethoxy)-1,4-bis(4-pyridyl)benzene)を新たに合成した。1は、 i)側鎖にエチレングリコール部位を持つピラー配位子が構成要素として用いられており、このピラー配位子は3次元構造内で回転可能である。この回転機構により、ゲスト分子導入に対しゲート効果を発現することが分かった。 ii)ゲスト導入の際、ピラー配位子の回転運動と共同して、金属イオン周りの柔軟性からなるレイヤーのずれ運動も見られ、エチレングリコール側鎖同士の水素結合の生成・開裂をコントロールし(lock/unlock機構)、ゲート効果の一因を担っていることがわかった。 iii)補助配位子として配位していた水を取り除くことにより、配位不飽和なゲストアクセス可能サイトを生じることがわかった。 このフレームワーク化合物はゲスト分子の吸/脱着に応じて可逆的に単結晶性を保つたまま構造変化することが確認された。これは、吸/脱着等温線のプロファイルを構造と対応させて理解するための重要な手がかりとなった。X線構造からのホストフレームワークは、構造変化を起こしながらも、その3次元構造を保っており、その構造変化の内訳は主にピラー配位子の回転と、レイヤーのずれであった。1を乾燥させることによって得られた[Cd2(pzdc)2L]n(2)は、細孔容積が無く、また補助配位子の水が除去されていた。2の298Kにおける水の吸着等温線は明確な3段階のステップを示し、これらはそれぞれフレームワークの特性(配位不飽和なゲストアクセス可能サイト、レイヤーのずれ、ピラー配位子の回転)に対応することがわかった。また2はCO2(195K)をN2(77K)やO2(77K)に比べ手選択的に吸着することが確認された。以上のように、ピラー配位子によってもたらされた回転機構と、レイヤー同士のずれによるlock/unlock機構が共同して、ゲスト分子に対するゲート効果が発現することがわかった。このアプローチは将来の分離技術等への応用への可能性が期待される。
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Research Products
(1 results)