2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子触媒を用いた芳香環炭素-水素結合の直接変換法の開発
Project/Area Number |
07F07350
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CANIVET Jerome 名古屋大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属触媒 / 炭素-水素結合 / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、芳香環炭素-水素結合を活性化し変換する新触媒を、高い触媒活性が期待できる金属ナノ粒子で実現することである。恒久的に重要な触媒化学に普遍的な新原理をもたらす可能性をもつのみならず、炭素-水素結合以外の広範な結合の活性化・変換が可能な新触媒システムの創製に繋がる可能性を秘めている。 H20年度は、ヘテロ芳香族化合物とハロゲン化アリールのビアリールカップリングを促進するNi触媒を見出した(Org.Lett.2009)。例えば、Ni(OAc)_2(10mol%)、2,2'-bipyridyI(bipy:10mol%)、LiOt-Bu(1.5equiv)のジオキサン溶液に対してベンゾチアゾールとヨードベンゼンを作用させ85℃で撹拌すると、2-フェニルベンゾチアゾールが高収率で得られる。このNi(OAc)_2/bipy触媒は種々のヨウ化アリールや臭化アリールのカップリングに有効である。ハロゲン化ヘテロアリールのカップリングも可能である。さらに、チアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾールなどのヘテロ芳香環のアリール化にも有効であることが明らかとなった。興味深いことに配位子をdppfにすると、塩化アリールやアリールトリフラートを用いたカップリングに有効な触媒となることも見出した。機能の宝庫であるヘテロビアリール骨格を極めて安価なNi(OAc)_2・4H_2O($126 for 1kg:Strem Chemicals,Inc.)を触媒前駆体に用いて構築した意義は明白である。
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Research Products
(2 results)