2008 Fiscal Year Annual Research Report
マルチポルフィリンデンドリマーの自己組織化による光機能性ナノシリンダーの構築
Project/Area Number |
07F07351
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HE Yaning 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 光異性化 / コアセブリー |
Research Abstract |
AZO-HBC分子をTHFに加熱溶解した後放冷し、さらに室温で一昼夜放置すると、直径がおよそ35nm、長さが100-200nm程度のチューブ状構造体が生成することを見出した。このチューブはこれまでのHBCナノチューブに比べてアスペクト比が異常に小さい。興味深いことに、室温に冷却したAZO-HBCのTHF溶液に対して、数十秒の光照射を行った場合、これまでと同様のサイズを有するナノチューブが生成した。このように僅かな時間の光照射で自己組織化形態をスイッチできる系は極めて興味深い。この現象のメカニズムを解明するために、プロトンNMRや紫外など分析方法を用いて検討を行った。具体的には、この分子をTHFに加熱溶解した後放冷した溶液のプロトンNMRには、アゾベンゼンユニットが100%トランス体で存在することが分かった。すなわち、アスペクト比の小さなナノチューブがトランス体AZO-HBCのみの自己組織化によりなることを明らかにした。一方、上記のTHF溶液への紫外光(λ=365nm)照射によりアゾベンゼン部位を光異性化誘起した後のプロトンNMR結果には、トランス体のピークと伴いシス体に由来する新たのピークも観測された。これらのピークの面積計算によりトランス/シス体比は60/40%であることが分かった。つまり、紫外光照射を行うことによって一部アゾユニットはトランス体からシス体に異性化し、系中で光異性化行ってないトランス体とコアセンブリーによる通常の大きなアスペクト比を有するナノテューブが特異的に生成することを強く示唆する結果が得られた。上記の結果は、独創的なアプローチにより、分子レベルを超えたナノスケールでの光応答システムを構築することが成功し、機能発現のための分子配列が完璧に制御されたナノ構造体の先駆的な例を見出した。
|
Research Products
(1 results)