2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポリオキソメタレート複合体の創製と分離・不均一触媒反応への応用
Project/Area Number |
07F07352
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 哲孝 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卜 偉鋒 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ベシクル / ミセル / ポリオキソメタレート |
Research Abstract |
脂質などの両親媒性の生体分子は水中で集合し、その特殊な集合構造に基づき高選択的な物質輸送等の機能を発現する。同様に、ブロック共重合体等の両親媒性分子も水や有機溶媒中で集合体を形成する。本研究ではカチオン性のブロック共重合体ポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)の対アニオンとして存在するヨウ素イオンをアニオン性無機金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレート(POM)に交換することによる複合体(SVP-n)の系統的な構造制御を試みた。SVP-1のTEM像は、直径約30nmの球状粒子がハニカム状に配列しており、隣接する粒子の中心間距離は約55nmであった。一方AFM像は、直径約60nmの粒子が隙間なくハニカム状に配列していた。また、EDX測定の結果、タングステンは球状粒子には含まれるが、粒子と粒子の間の領域には含まれないことが明らかとなった。以上より、TEM像では電子密度の高いPOMを含む部分が観察されていると考えられ、SVP-1は球状ミセル構造をとり、内側がPOMとポリ4-ビニルピリジンユニットから構成される親水部、外側がポリスチレンユニットから構成される疎水部であると考えられる。SVP-5のTEM像は、直径30-40nm程度、厚さが10nm程度のリング状粒子が観察された。試料面を傾斜させて測定を行っても粒子形状に変化は見られなかった。従って、SVP-5は二重層ベシクル構造をとり、内側が親水部、外側が疎水部であると考えられる。以上の結果より、カチオン性ブロック共重合体の対アニオンとしてPOMを導入した複合体SVP-nは、球状ミセルあるいは二重層ベシクル構造をとることが明らかとなった。SVP-1からSVP-5への形態の変化は、POM交換量が共重合体1分子あたり5分子から18分子へと増加することにより、疎水部に対して親水部の体積が相対的に増加したためと考えられる。本研究は、カチオン性ブロック共重合体にサイズの大きなアニオン性クラスター分子をイオン交換により導入し、集合体の形態を制御した初めての例である。
|
Research Products
(1 results)