2008 Fiscal Year Annual Research Report
水素貯蔵用アラネート系錯体水素化物の合成とその物性評価
Project/Area Number |
07F07406
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 宇展 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 錯体水素化物 / 水素貯蔵材料 / アラネート / ラマン分光 / メタセシス合成 / 材料設計 |
Research Abstract |
LiBH_4やNaAlH_4に代表される錯体水素化物は、軽量・高密度水素貯蔵材料として注目されている。これらの錯体水素化物では、中間相の存在の有無が水素吸蔵・放出特性に重要である。そこで、本研究では、NaBH_4錯体水素化物に注目し、TG/DTA測定およびラマン分光による水素の振動モードについて詳細に調べた。 Sigma-Aldrich製NaBH_4およびNaBD_4をDiglyme中に溶解し、不純物を沈殿除去した。その後、真空中で200℃,6時間の熱処理を施して溶剤を除去し、高純度の白色粉末試料を得た。これらの試料について、TG/DTA測定および加熱中その場のラマン分光分析を行った。 NaBH_4のTG/DTA測定より、融解のピークより低温側に、水素放出を伴わないピークが確認された。同様のピークは、重水素化物NaBD_4でも観察された。更に昇温することによって、水素放出を伴うブロードなピークが観察された。鋭い2つのピークは、降温時にも確認された。以上の結果より、NaBH_4(NaBD_4)は、昇温すると融解に先立って、吸熱を伴う反応が起こることが明らかになった。何らかの構造相変態が起こっている可能性がある。 NaBD_4について室温から773Kまで昇温させ、in-situラマンスペクトル測定を行った。昇温により、914cm^<-1>および1785cm^<-1>のピーク高さが減少し、423Kで完全に消滅した。同時に1625cm^<-1>、1732cm^<-1>のピークが低波数側1616cm^<-1>、1711cm^<-1>にシフトした。これらの結果より、423Kにおいて、錯イオン中のローカルな局所構造が変化していることが推測される。さらに昇温した773Kでは、低波数側785cm^<-1>〜1070cm^<-1>と高波数側1830cm^<-1>近傍に新たなピークが観測された。Na_2B_<10>H_<10>などの中間相が形成されたと考えられる。
|
Research Products
(1 results)