2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイコにおける体色突然変異の原因遺伝子のクローニングと体色発現機構の解明
Project/Area Number |
07F07427
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孟 艶 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 色素形成 / メラニン形成 / ポジショナルクローニング / プテリジン代謝 / キヌレニン代謝 |
Research Abstract |
カイコの幼虫の正常体色は白であるが、突然変異「黄体色」(lemon)では全身が黄色を呈する。類似の変異である「黄体色致死」(lemon lethal)は2齢幼虫が濃黄色を呈し、摂食ができずに致死する。両者の黄色色素は、キチョウの翅の色素と同じキサントプテリンである。本研究では、この突然変異の原因がセピアプテリン還元酵素(SPR)の遺伝子の構造に異常が起きた結果、SPRの酵素活性が顕著に低下するためであることを明らかにした。SPRは、チロシン水酸化酵素などの補酵素として使われるテトラヒドロビオプテリン(BH4)を合成する酵素であり、SPRの欠損はヒトや哺乳類でも発達障害や運動障害などの重篤な症状を引き起こす。lemon lethal変異体にBH4を経口投与して治療を試みた結果、2齢幼虫が餌を食えるようになって成長をし、個体によっては成虫にまで達した。また、同様にドーパミンを経口投与したところ、やはり2齢幼虫で摂食ができるようになって成長した。これらの結果から、lemon lethalの致死の原因は、BH4の不足によってチロシン水酸化酵素の活性が低下し、ドーパミンの生産量が低くなったために、摂食行動に必要な神経活動ができないことであると結論した。 また、トランスジェニック技術を用いてSPR遺伝子をlemon変異体へ導入したところ、黄体色から白色のカイコへ戻ることが分かった。これによって、SPR遺伝子こそがlemon形質の原因であることを証明するとともに、SPRは形質転換のマーカー遺伝子としても有用であることが分かった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Presentation] The silkworm mutant lemon (lemon lethal) is a potential insect model for human Sepiapterin reductase deficiency2009
Author(s)
Yan MENG, Susumu Katsuma, Takaaki Daimon, Yutaka Banno, Keiro Uchino, Hideki Sezutsu, Toshiki Tamura, Kazuei Mita, Toru Shfmada
Organizer
The Eighth International Workshop on MOLECULAR BIOLOGY AND GENETICS OF THE LEPIDOPTERA
Place of Presentation
the Orthodox Academy in Kolympari, Crete, Greece
Year and Date
20090823-20090829
-
-