2009 Fiscal Year Annual Research Report
有用野生植物からの金属ストレス、酸化ストレスに高耐性を示す遺伝子群の単離と解析
Project/Area Number |
07F07430
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江崎 文一 Okayama University, 資源生物科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
METWALLY A.M. 岡山大学, 資源生物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 野生植物 / 多種ストレス / 耐性機構 / Alストレス / 誘導性遺伝子 / ABC transporter遺伝子 / メリケンカルカヤ / トウモロコシ |
Research Abstract |
1)Maize(トウモロコシ)を用いた多種ストレスに対する耐性機構の生理学的な解析 エジプト種のトウモロコシの6品種を用いて、多種ストレスに対する耐性反応を解析した。まずAlストレスに対する感受性試験を進めた。その結果、cv321が最も強く、cv122が最も弱かった。Cu,Cdストレスでも同様の結果が得られたので、この後の研究にはこの2品種を用いることにした。これらのストレスによる生育の違いは、主に根部で見られた。なお、Cr、Zn、Diamide、過酸化水素などには、両品種間で大差は見られなかった。このような差を示す原因を解明するために根と地上部における金属含有量を測定し、2品種間で比較した。その結果、Cu、Alでは明らかに根での含有量が耐性品種の方で低く抑えられていた)。特にCuでは根から地上部への積極的な輸送が認められ(Cu金属輸送率は耐性株では約3倍高い)、cv321がCu耐性となる一因と思われた。一方Cdでは、このような差はなかった。 2)Andropogonn(メリケンカルカヤ)を用いたAlストレスや多種のストレスに応答する遺伝子群の分子遺伝学的解析 新たに野生植物メリケンカルカヤより、Alストレスに応答する遺伝子群の単離も試みられた。まず、Al処理を施した植物と未処理植物よりRNAを抽出し、finger print法により、Alストレス誘導性遺伝子の候補を6クローン得た。塩基配列の結果から、これらのほとんどは未知の遺伝子であったが、1つだけはトウモロコシのABC transporter遺伝子と相同性を示した。また、この遺伝子は根でも地上部でも、Alストレスで誘導されることが、リアルタイムPCR法による解析で示された。他のストレスに対する誘導性に関しても検討したところ、Diamideによって根で誘導されるものの、Cd、Zn、過酸化水素に対してはむしろ根で逆に発現抑制が見られ、各ストレスに異なる応答を示すことが示された。現在、この遺伝子のAlストレスや他のストレスにおける機能を解明するために、メリケンカルカヤからの完全長ORFが単離された。
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Research Products
(8 results)