2007 Fiscal Year Annual Research Report
3つの単量体アロステリック酵素(基質-活性化型)の分子機構と応用
Project/Area Number |
07F07433
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 淳夫 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WONGCHAWALIT Jintanart 北海道大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | アロステリック酵素 / モノマー酵素 / 分子機構 |
Research Abstract |
単量体アロステリック酵素、すなわちモノマー酵素が示す協同性(基質活性化)の現象例は極めて稀である。さらに我々は、3種の酵素(α-グルコシダーゼ・β-グルコシダーゼ・キチン分解酵素)の取得に成功している。従って、3酵素が示す協同性の分子機構を究明することは学問上において興味深い。本研究の目的は、単量体アロステリック酵素の分子機構を解明し、応用研究に結び付けることにある。本年度(研究期間:11月中旬〜3月末)は、β-グルコシダーゼとキチン分解酵素を対象に以下の4つの課題を設け研究を行った。1)アロステリック因子の決定、2)構造変化の観察、3)化学修飾による活性化残基の推定、4)結晶作製、である。僅か3ケ月半の短期であったが、次の研究成果を得た。 1)アロステリック因子の決定:β-グルコシダーゼでは、5種の単糖が基質活性化を引き起こすことを認め、アロステリック因子の決定に成功した。特にフコースの効果が大きい。キチン分解酵素では、キチンオリゴ糖の2糖〜4糖で活性化が生じ5糖で本現象が消失したため、サブサイト+1〜+3の重要性が判明した。2)構造変化の観察:キチンオリゴ糖の2糖をキチン分解酵素に作用させると、大きなUVや蛍光変化を伴う構造変化が観察された。β-グルコシダーゼではこのような結果が得らないことから、両酵素の活性化機構に相違があることが分った。3)化学修飾による活性化残基の推定:各種のアミノ酸に特異的な化学修飾試薬を作用させ、酵素の活性化に対する影響を調べた。大きな活性化変動を与える修飾剤が見られなかったことから、活性化部位は、化学試薬がコンタクトできない部位、すなわち蛋白分子の内部(クレフトやポケットなど)に存在することが考えられた。4)結晶作製:X線立体構造解析を意図した結晶作製を解析した。条件野決定に時間を要するため、次年度も継続実験とする。
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