2008 Fiscal Year Annual Research Report
リグノセルロース系バイオマス生物変換のためのバイオミメティック酵素システムの開発
Project/Area Number |
07F07436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VERMA Pradeep 京都大学, 生存圏研究所, 外国人共同研究員
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Keywords | バイオエタノール / リグニン / バイオマス / 酵素糖化 / 木材 |
Research Abstract |
再生可能な木質系バイオマスから高効率でバイオエタノールを生産するため、金属錯体反応を用いた木材の効率的な前処理法を研究した。効率的なリグニン分解系を開発するために、リグニン単量体モデルを金属イオン存在下で酸化できる配位子について広範に探索し、有力な触媒系を見出した。探索に当たっては、白色腐朽菌の培養物を液体クロマトグラフィーで分離した画分も使用した。この実験で見出した触媒系に加え、過酸化水素存在下で、木材中のリグニンを分解する金属錯体反応系を探索した。その結果、広葉樹のみならず針葉樹材に対しても高効率でリグニン分解を起こす反応系を開発した。この反応系の開発に際しては、マイクロ波照射と外部加熱を比較し、マイクロ波加熱によって反応効率が高まることを明らかにした。温度、反応時間、触媒量、pH、樹種などを変えて前処理を行い、反応が木材の成分変化や酵素糖化率に及ぼす影響を分析した。その結果、原料木材の重量当たり50%以上の糖収率で酵素糖化できる反応系を開発した。また。前処理物については、酵素糖化した後、酵母によるエタノール発酵を試験した。その結果、本プロセメで処理した木材から、効率的にエタノールが生産されることを明らかにした。さらに、開発した反応系から産生される木材の分解フラグメントをGCMSによって分析した。また、β-O-4型リグニン二量体モデル化合物の分解実験を実施し、反応機構について考察した。これらの研究結果に基づき、平成20年度に、木材の前処理法に関する特許を出願した。また、研究結果を論文原稿としてまとめており、国際雑誌に投稿する予定にしている。平成21年度、さらに金属錯体反応を用いた前処理研究を継続発展させる予定である。
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Research Products
(2 results)