2009 Fiscal Year Annual Research Report
リグノセルロース系バイオマス生物変換のためのバイオミメティック酵素システムの開発
Project/Area Number |
07F07436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VERMA Pradeep 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | エタノール / バイオマス / バイオミメティック反応 / 前処理 / 白色腐朽菌 |
Research Abstract |
本研究では、リグニンを高効率で分解する白色腐朽菌の生物模倣型ラジカル反応を探索し、見出した反応系を酵素糖化前処理に用いて木材からエタノールを高効率で生産する。この目的のため、金属のリガンドを合成化学品と白色腐朽菌代謝物からスクリーニングする。開発した反応系は、リグニンモデル化合物や木材の分解実験などにより詳しく解析する。このようなラジカル反応によるリグニン分解と糖化前処理への応用研究は、リグノセルロース系バイオリファイナリーの基礎となるもので、木材などのバイオマスからエネルギーや化学品を発酵生産するプロセスを大きく進展させる。このように本研究は、低分子化合物のラジカル反応を酵素糖化前処理に使うという新しい分野を切り開くことを目的とする。 本研究では、白色腐朽菌Ceriporiopsis subvermisporaの菌体外代謝物フラクションや各種の合成リガンドを銅および鉄などの遷移金属イオンに配位させた錯体を、過酸化水素と反応させ、β-0-4型非フェノール性リグニンモデル化合物を分解する反応系を見出し、国内および国際特許を出願した。また、合成金属錯体系とは別に、様々な置換基をもつフェノール類を用いたソルボリシスリグニン分解反応系を開発した。このようにして見出したラジカルリグニン分解系でスギ、アカシア、ファルカタリアなどの木材を処理したところ、リグニンの分解によりパルプ化が進行することを見出した。様々な反応系により処理した木材の成分組成の変化や構造変化を解析するとともに、工業用セルラーゼで酵素糖化を行い、酵素糖化率の最適化を行った。糖化物は、酵母を用いてエタノール発酵し、物質収支を明らかにした。また、発酵阻害の影響についても検討した。
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Research Products
(1 results)