Research Abstract |
本研究は,乾燥地域における水資源の高度利用と寄生雑草防除への寄与を目的として,高解像度リモートセンシングによる水資源管理と、同リモートセンシングによる寄生雑草管理という二つの課題を検討するものである.本年度は,小麦畑における蒸発散量,収量,水使用効率の相互関係について検討するとともに,ストライガ繁殖域の分光反射特性調査を実施した. まず,スーダン,ゲジラ潅漑地区における水資源の高度利用に関する研究では,衛星画像データと地上気象データを利用して,熱収支法に基づく蒸発散量推定アルゴリズムであるSEBALで実蒸発散量の空間分布を求めた後,8個ある潅漑地区毎に,地区内圃場の冬期蒸発散量及び水使用効率(収量/蒸発散量)の変動係数を計算した.その結果,水使用効率にかなり大きなばらつきが生じており,水使用効率をより高める余地のある圃場が存在することが示された.また,蒸発散量と収量,蒸発散量と水使用効率の関係を調べたところ,冬期蒸発散量が増大すれば収量,水使用効率も増大するが,冬期蒸発散量がおよそ450mmを越えると,収量と水使用効率が低下し始めることが分かった. 一方,寄生雑草防除に関する研究では,2008年10月に特別研究員のBashirがスーダン,ガダーレフ地区における現地調査を実施した.ストライガ繁殖時期の適当な高解像度衛星画像が入手できていないため,現地へのリモートセンシングの適用にはまだ至っていないが,リモートセンシングによるストライガ繁殖域把握の可能性を検討するために,ストライガ繁殖域における分光反射特性を実測して,反射光の波長と反射率の関係図を作成した. なお,第13回国際水工学会議(エジプト・ハルガダ)において,Bashir他による論文「水分不足量と水使用効率の診断のためのリモートセンシング」がFirst Awardを受賞した.
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