2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来の特異的細胞致死タンパク質の作用機構解明と新しい細胞検出法の開発
Project/Area Number |
07F07449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 裕 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BEGUM A. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Bacillus thuringiensis / パラスポリン / 選択的細胞毒性 / クリスタル / クローニング / ガン細胞検出法 |
Research Abstract |
グラム陽性土壌細菌Bacillus thuringiensis B462株は、胞子形成期に母細胞内に特殊な蛋白質凝集体(クリスタル)を形成する。クリスタルには子宮がん由来のHeLa細胞に対して選択的細胞毒性を示す蛋白質が含まれる事が知られている。本研究ではこの蛋白質の遺伝子クローニング、性状解析、ガン細胞検出法の構築を目指す。 B452株のクリスタルを可溶化後プロテイナーゼKで処理するとHeLa細胞に対する細胞損傷活性が発現した。これをSDS-PAGEで解析した結果から60kDaポリペプチド(P60)が活性型分子であると判断された。 P60の部分アミノ酸配列からdegenerateDNAプライマーを設計し、B462株の全DNAを鋳型としてPCR法によりP60をコードする遺伝子(p60)を単離しようとした。その結果、長さ1〜3kbの複数のDNA断片が増幅された。このうち、2.9kb断片をクローニング、調査したところ、既知の細胞損傷蛋白質であるパラスポリン-1(PS-1)をコードする遺伝子である事が判明した。この他のサイズの増幅DNA断片のクローニングを現在進めている。 PS-1は、プロテイナーゼKを用いた活性化によって15kDa及び56kDaの二つの断片が生じ、これらの会合体が活性型として選択的細胞損傷活性を示すと考えられている。P60は56kDa断片であるので、15kDa断片をコードする遺伝子をPCRにより増幅、70kDaの蛋白質全長(15kDa+56kDa)をコードする遺伝子を単離した。これをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質として発現させ、グルタチオンビーズを用いて精製した。70kDa蛋白質全長はHeLa細胞、MOLT-4細胞(白血病由来ガン細胞)のいずれに対しても細胞損傷活性を示さなかった。PS-1活性型を構成する15kDa断片、56kDa断片それぞれの役割は現在のところ明らかにされていないので、これについても詳細に解析する計画である。
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Research Products
(1 results)