2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来の特異的細胞致死タンパク質の作用機構解明と新しい細胞検出法の開発
Project/Area Number |
07F07449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 裕 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BEGUM A. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Bacillus thuringiensis / パラスポリン / 選択的細胞毒性 / クリスタル / クローニング / ガン細胞検出法 |
Research Abstract |
Bacillus thuringiensis B462株のプラスミドDNAを制限酵素HindIII及びEcoRIで切断したものを、パラスポリンI遺伝子をプローブとしてSouthern hybridizationを行った結果から、B462株には2種類のパラスポリンI遺伝子が存在することが強く示唆された。 そこで、Bacillus thuringiensis B462株のプラスミドDNAを鋳型としてPCR法でパラスポリン遺伝子を増幅、塩基配列を調査したところ、2種類のパラスポリンI遺伝子の存在が明らかとなった。1つはパラスポリン1Aa1(Cry31Aa1)遺伝子と塩基配列が完全に一致しており、81kDaポリペプチドをコードする。この遺伝子をGST融合蛋白質発現ベクターpGEX-6P-1に挿入、大腸菌で発現させることが出来る。 今回単離されたもう一つの遺伝子は、83kDaポリペプチドをコードするパラスポリン1Aa2(Cry31Aa2)遺伝子と高度に類似していて、塩基配列は96%一致する。主な違いはポリペプチドのC末端側の領域にあることが判明した。 これまでに知られているパラスポリン1Aaは、HeLa細胞(子宮ガン由来)及びMOLT-4細胞(白血病由来)の両方に対して細胞損傷活性を示す。しかし、Bacillus thuringiensis B462株のクリスタル蛋白質を可溶化後、プロテアーゼ処理によって活性化すると、HeLa細胞に対しては細胞損傷活性を示すが、MOLT-4細胞に対しては活性を示さない。このことは、Bacillus thuringiensis B462株が新規なパラスポリン遺伝子を保持していることを示唆する。現在のところ、本研究によりB462株から単離された2種類のパラスポリンI遺伝子のうち、後者すなわちパラスポリン1Aa2に類似しているトキシンが新しい標的細胞特異性を示すのではないかと考え、その性状をより詳細に調査する予定である。
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Research Products
(1 results)