2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物における病害ストレス応答と小胞体ストレス応答のクロストークに関する研究
Project/Area Number |
07F07450
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小泉 望 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Mi Hyun 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 小胞体ストレス / 細胞死 / フモニシンB1 / シロイヌナズナ / ツニカマイシン |
Research Abstract |
植物が病害ストレスを受ける際の細胞死と小胞体ストレス応答との関わりについて転写因子AtbZIP60を切り口にして明らかとすることを目的に研究を実施した。1つ目のアプローチとして実施計画に基づき、シロイヌナズナ培養細胞T87株にツニカマイシン処理を行った際に起こる細胞死を再現性良く観察する実験系を確立した。この実験系ではプログラム細胞死に特徴的なDNAの断片化も観察された。細胞死の起こり始める時点の細胞を用いて、代謝産物の挙動の変化をFT-MSを用いて網羅的に解析するために試料調整を行った。2つ目のアプローチとして細胞死を引き起こすことが知られているカビ毒の1種FumonisinB1(FB1)の影響をAtbZIP60との関わりから調べた。FB1処理によりAtbZIP60は転写誘導を受けるとともに、タンパク質切断およびタンパク質レベルでも蓄積量が増加した。一方、AtbZIP60遺伝子を欠損した変異体をFB1で処理すると野生型と比べて細胞死が起こりやすいことが明らかとなった。より詳しく調べたところ、遺伝子欠損変異株ではFB1処理によるイオン流出が早く認められた。FB1によるAtbZIP60の誘導、活性化と小胞体ストレス応答の関わりについて知見を得るためBiPの発現を調べたところ、FB1処理ではBiP1、BiP3のどちらも殆ど誘導を受けず小胞体ストレス応答とは異なる経路が活性化されていることが示唆された。以上の結果より、AtbZIP60は小胞体ストレス応答非依存的に細胞死を抑制する遺伝子の発現を制御していることが示唆された。以上の成果は植物の細胞死に関する全く新しい知見である。
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Research Products
(1 results)