2007 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性アストロサイトの移動メカニズムについての解析
Project/Area Number |
07F07451
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 栄之 Keio University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ルノーミハラ フランソワ 慶應義塾大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アストロサイト / 脊髄損傷 / 細胞移動 / 再生医療 / 神経科学 |
Research Abstract |
脊髄損傷後には二段階の損傷が存在することが知られている。一つは受傷直後の機械的損傷である一次損傷、もう一つはそれに引き続いて起こる出血や炎症、浮腫による二次損傷である。この二次損傷の際に集積する炎症性アストロサイトによって形成されるグリア瘢痕は、損傷部を囲むように形成され、脆弱な損傷組織の補強や破綻した血液脳関門の修復に働く。このグリア瘢痕は神経軸索が通過できずに機能回復を遅らせる阻害因子の一つであると考えられていたが、我々は、反応性アストロサイトが脊髄損傷後の炎症性細胞の浸潤を収束させ、損傷神経の修復を促す細胞としての役割を担い、損傷後の機能回復に有利な側面も持つことを報告した(Okada S Nat Med 2006)。このStat3を介したアストロサイトの移動活性化メカニズムの詳細を明らかにしようと試みた。その結果、別種の細胞を用いた過去の報告とは異なり、アストロサイトの極性形成にはSTAT3は関与せず、また微小管ネットワーク形成にも関与していないことがわかった。さらに我々は、STAT3によるアストロサイトの移動調節メカニズムは、STAT3のリン酸化を介し、下流の標的因子であるMMP2の酵素活性のコントロールが重要であることを示唆するデータを得た。我々は現在、上述のMMP2を介したSTAT3のカスケードが、本当にアストロサイトの移動調節に必要十分なものであるかを確かめるために、アストロサイトにおけるSTAT3およびSOCS3の発現を欠失させたマウスおよび、MMP2遺伝子欠損マウスから採取したアストロサイトを用いて、移動に関する確認実験を行った。
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Research Products
(4 results)