2007 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的蛋白分解解析による歯周病の全身合併症発症機構に関する研究
Project/Area Number |
07F07454
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANCHAROEN Salunya 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 歯周病 / 歯周上皮細胞 / ジンジパイン / ケラチノサイト |
Research Abstract |
結論的に言って非常に実り多い1年であった。明らかにしたことは以下の点である。 1.歯周病菌のプロテアーゼRgpで歯肉上皮細胞を分解して,多くの分画を得たが、そのうちのメジャーなピークからK6Fと命名したフラグメントを得た。 2.K6Fのアミノ酸配列を同定したところ、K6Fは歯肉上皮細胞の骨格蛋白の一つであった。 3.K6Fはマクロファージ系細胞に対する刺激活性があり、炎症性サイトカイン(TNFα,IL-1)の産生能刺激活性を持っていた。 4.さらに本K6Fは、血管内皮細胞に対し、細胞遊走活性を有していた。 5.現在までのところ、K6Fの受容体は同定しえていないが、K6Fはマクロファージ系細胞、血管内皮細胞などにシグナルを入れることを突き止めている。 6.歯周囲病病患者の循環血中には、このK6Fが存在することを、共同研究者が証明した。しかし健康者には存在しなかった。 これらの結果より、歯周病患者では歯周病菌のプロテアーゼで歯肉上皮細胞が分解され、これが血中に流入し、全身作用を発揮する可能性が考えられた。 残された問題としては、歯周病患者に合併する全身病、特に動脈硬化、流産・早産、低体重児などとの関連を証明することである。 これらを明らかにするために、現在、K6Fのコントロールとして、アミノ酸配列にスクランブルをかけたもので検討を開始している。またK6Fに対する特異的抗体を作成中であり、これが作製し終えたら、このペプチドに対する特異的測定系(ELISA)を確立し、臨床サンプルで、このペプチドを定量し、上記全身合併症との関連を明らかにする計画である。
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