2008 Fiscal Year Annual Research Report
循環調節中枢における炎症反応と本態性高血圧発症との因果関係
Project/Area Number |
07F07458
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
前田 正信 Wakayama Medical University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOURAUD Sabine S. 和歌山県立医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 孤束核 / 高血圧 / 炎症反応 / 神経科学 / サイトカイン / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本態性高血圧症は心疾患、脳卒中および腎不全などのリスクファクターであり、その発症機序解明は極めて重要な課題である。我々はこれまでの研究成果により、本態性高血圧の発症は循環調節中枢の炎症反応異常が一因であると考えている。本研究では、高血圧症の孤束核において神経細胞の成長や発達に関連する、サイトカイン、ケモカイン、神経栄養因子、およびアポトーシス関連因子の遺伝子発現に異常が見られるか否かについて調べた。 本態性高血圧症のラットモデル(SHR)およびそのコントロール(WKY)の孤束核を摘出し、PCRアレーによる網羅的なスクリーニングの後、リアルタイムPCRを用いて発現レベルを調べた。また、遺伝子発現量を群間内で比較する場合、内因性コントロール(いわゆるhousekeeping gene)の選び方が重要となる。従って本研究では、housekeeping gene同定用のアレーを用い、本実験に適当な内因性コントロールの決定も行った。その結果、孤束核の遺伝子発現を比較する場合、内因性コントロールとしてβ-actinとHprtの2つの遺伝子を利用することが有効であることがわかった。そして、SHRの孤束核ではIL-6、Ox40L、GFRa、Crhbp、Birclb、Fas、Casp12、などの遺伝子に発現異常が見られた。 更に本年度は孤束核における炎症反応誘発分子、ロイコトリエンB4の定量も酵素免疫法により試みた。その結果SHRの孤束核では当該分子が過剰に合成されており、SHRの孤束核では炎症反応異常が起きているという仮説を更に支持する結果を得た。 次年度は以上の同定分子において蛋白質発現レベルについてさらに詳しく調べる。また、これらの分子の循環調節に関わる機能的特性についても調べることにより、本態性高血圧発症メカニズムについて更に深く検討していく。
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Research Products
(5 results)