2008 Fiscal Year Annual Research Report
AID変異体ノックインマウスを用いたAIDの生理病態機構解明
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07F07460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本庶 佑 Kyoto University, 医学研究科, 客員教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEI Min 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 抗体 / クラススイッチ / AID / 体細胞突然変異 |
Research Abstract |
AID(activation-induced cytidine deaminase)の2つの活性、すなわち体細胞突然変異とクラススイッチ組換えの両者が生体内でそれぞれどのような機能分担をするかを明らかにするため、体細胞突然変異を特異的に消失するAIDのN末mutant(G23S)とクラススイッチを特異的に失うC末mutant(JP8B)のノックインマウスを作製した。しかし、クラススイッチ活性を失うJP8Bノックインマウスではmutant蛋白を検出することができず免疫学的検討を中止した。、G23Sノックインマウスを用いて以下の3点について検討した。 1)抗体産生機能について。G23Sノックインマウスではクラススイッチの軽度の減少はあるものの、血清中にIgG,IgA,また腸管内にIgAの分泌が認められ、クラススイッチはほぼ正常であった。体細胞突然変異は有意に減少しており、マウスにおいてもin vitroの実験から予想される結果を示した。2)抗体遺伝子座とcmycなどの遺伝子座の染色体転座にAIDが関与しているが、どちらの活性によるのか、あるいは両方必要なのかを明らかにするため、リンパ腫好発系であるBalbc/Aへのバッククロスをほぼ終了した。今後、リンパ腫発生の頻度を検討する。3)AIDノックアウトマウスで観察される全身のリンパ臓器のおける過形成はどちらの活性に起因するのかを明らかにするため、G23Sノックインマウスの免疫組織を検索した。ノックアウトマウスと類似の表現型、つまり脾臓臓やパイエル板の胚中心の過形成が認められたが、その程度は常にノックアウトと野生型マウスの中間を示した。この過形成の原因は今まで報告されてきたようにクラススイッチの障害、つまりIgAやIgGの欠失によるものであることを否定できないが、G23Sマウスの結果から体細胞突然変異の減少による寄与も重要であることがはじめて明らかになった。
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Research Products
(1 results)