2008 Fiscal Year Annual Research Report
SLEにおけるカテキンの阻害作用に対する分子機序の解明
Project/Area Number |
07F07461
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 Osaka University, 生命機能研究科, 寄附講座教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RIPLEY Barry James 大阪大学, 生命機能研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 免疫疾患 / サイトカイン / ポリフェノール / SOCS-1 / SOCS-3 / 自己抗体 |
Research Abstract |
自己免疫疾患の新規治療薬として、抗IL-6受容体抗体などのサイトカインを標的とする生物製剤が実用化されているが、その作用機序は十分に解明されていない。そこで、抗IL-6受容体抗体の作用機序を明らかにするため、多発性硬化症と関節リウマチのモデル動物を用いて実験を行った。抗IL-6受容本抗体の投与によって、両モデルともに、炎症に深く関与するTh17細胞の誘導が著明に抑制された。また、特に前者では、抗IL-6受容体投与により自己抗原特異的T細胞増加自体が抑制された。以上のことから、抗IL-6受容体抗体の重要な作用機序して、自己抗原に反応するT細胞の増加を抑制し、特に炎症性T細胞であるTh17細胞の出現を強力に抑制することが示された。以上の結果は、個々の患者に対する生物製剤の選択や他の免疫疾患への生物製剤応用を検討するうえで有用な情報と考えられる。 EGCG(Epigallo-catechin-gallate)は緑茶由来のポリフェノールであり、自己免疫疾患動物モデルの治療に有効であると報告されている。EGCGは、IFNなどのサイトカインのシグナル伝達を阻害すると報告されているが、その詳細な作用機序は不明である。そこで、生体内でサイトカインシグナルを阻害する分子SOCSに注目し、EGCGの作用におけるSOCSの役割について実験を行った。興味深いことに、SOCS-1はEGCG添加によって強く発現誘導され、SOCS-1をノックダウンするとEGCGのサイトカインシグナルへの作用は著明に減弱した。すなわち、EGCGの作用発現には、生体内サイトカインシグナル阻害分子SOCS-1の誘導が不可欠と考えられた。この成果は、EGCGの詳細な作用機序を初めて提唱するものであり、免疫が関与するさまざまな疾患へのEGCGの応用を考える上で重要な発見であると考えられる。
|
Research Products
(3 results)