2009 Fiscal Year Annual Research Report
口唇口蓋裂患者の発話時における脳活動と構音器官運動の相関
Project/Area Number |
07F07470
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森山 啓司 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
INOUE M.S. 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 発音 / fMRI / MRI movie |
Research Abstract |
中枢神経系との関連で機能的磁気共鳴画像法を用いた口唇口蓋裂(CLP)患者における外言語・内言語生成時の脳賦活領域のマッピングを行った。発音運動に関連する中枢神経機構は、健常者における発音すべき音を想起する段階と末梢器官に運動指令を発する段階の2段階に大別されることが知られている。一方、CLP患者においては、中枢神経機構のどの段階に差異があるのかは不明であった。機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、CLP患者と健常者の外言語・内言語生成時の脳賦活領域を比較し、CLP患者の代償性構音(CMA)について脳機能から評価することを目的とした。1)声に出さずに想起する(内言語;covert,C)、2)声に出して発音する(外言語;overt,O)の2課題を被験者に繰り返させた。C課題においては、CLP患者と健常者における脳賦活領域に大きな差異は認められなかった。O課題においては、CMAを示さないCLP患者の脳賦活領域は健常者と類似していた。一方、CMAを示すCLP患者ではそれらの領域の賦活は認められず、呼吸制御に関連した領域に賦活が認められた。以上の結果から、CLP患者の構音運動に関連する中枢神経機構を健常者のそれと比較すると、想起段階には差異がないものの、遂行段階に差異があることが明らかになった。この背景には、感覚入力・運動出力の差異、CMAの種類や程度など多様な要因が関与していることが推測される。次に、健常者において口腔内における最大の構音器官である舌に着目し、MRI動画法(MRI movie)を考案し、異なる構音点を有する破裂音である両唇音発音時には舌尖部が、軟口蓋音発音時には舌背後方部が、それぞれ軟口蓋と有意な時間的相関関係を示して運動することを明らかにした。結果として破裂音発音時において、舌は構音点に依存して異なる形態変化パタンを示し、これが異なる重心座標の移動様相に反映されていることが示唆された。現在、CLP患者からデータを採得し解析中である。
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Research Products
(4 results)