2007 Fiscal Year Annual Research Report
チオール自己組織化膜上への脂質二分子膜の形成とタンパク質分子との相互作用
Project/Area Number |
07F07564
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金 有洙 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合表面化学研究室, 専任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RZEZNICKA Izabela Irena 独立行政法人理化学研究所, 川合表面化学研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | 脂質二重膜 / タンパク分子 / 走査トンネル顕微鏡 / イエローフォトアクティブプロテイン / メルカプトアルキルカルボン酸 / 蛍光活性 / トンネル発光 / 高分解能画像化 |
Research Abstract |
本研究では、脂質二分子膜形成とタンパク質分子の相互作用を主として走査トンネル顕微鏡(STM)で観測して明らかにすることを目指す。特にタンパク質分子の固有の電子的性質や集合性を研究するため、今までこの分野では殆ど用いられる事のなかったSTMの高い空間分解能(100分の1nm以下、原子分子のサイズ)の画像化性能を生かす方法を探索してきている。 そこで本年度は、STM観測に好適な平坦な金属基板、特に金単結晶基板の上に、脂質分子のモデルとしてメルカプトアルキルカルボン酸混合単分子膜を作成し、そこにタンパク分子を化学結合によって接合して、基板に強固に固定し、走査トンネル顕微鏡で各々孤立状況のタンパク分子を高分解能で画像化する事に挑戦した。混合膜の成分として各種の脂質類似分子を探索した結果、鎖長の異なる2種類のメルカプトアルキルカルボン酸を混合して作成した単分子膜上に、イミドカップリングをはさんでPYP(フォトアクティブイエロープロテイン)分子を水溶液中で固定化することができることを見出し、STMによる画像化に成功した。この方法では、タンパクと基板の間に比較的長い炭化水素鎖が挟まれることから、基板との電子的相互作用をスクリーンすることができ、STM探針から注入されるトンネル電子によって分子を蛍光励起して発光させることができる可能性が示された。実際この吸着状態での蛍光活性が紫外線励起でも確認され、この類例のないトンネル電子励起蛍光発光の可能性が高まった。現在はこの目標に沿って、STM装置や光検出のための分光器等を実験に適合するよう改造準備を進めている。
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