2007 Fiscal Year Annual Research Report
低機能デバイスへ実装可能な実用的ポスト量子公開鍵暗号方式に関する研究
Project/Area Number |
07F07565
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
古原 和邦 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 情報セキュリティ研究センター, 主幹研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CUI Yang 独立行政法人産業技術総合研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 公開鍵暗号 / 低機能デバイス / 多倍長のべき剩余演算なし |
Research Abstract |
公開鍵暗号は情報セキュリティの基盤を構成する上で欠かせない技術であり、アルゴリズムの公開および鍵情報の部分公開(公開鍵暗号の場合)が可能といった特徴がある。公開鍵暗号はデータの秘匿だけでなく、個人に秘密鍵を割り当てることによるデジタル署名や安全な鍵交換など、幅広い用途で利用されている。また、それらを応用することにより、電子公証、電子マネー、電子投票、著作権保護などの多くのアプリケーションが安全に電子的手段で実現できることが示されている。 しかしながら、RSA、ElGamal、楕円曲線暗号など現在広く普及している公開鍵暗号には以下の二つの問題がある。一つは、計算量の問題である。これらの方式はいずれも多倍長の演算、特にべき剰余演算が不可欠であるため、スマートカードなどの中機能程度のデバイスではそれを行うための専用の暗号コプロセッサが必要となり、コスト上昇の一つの要因となっている。さらに、RFIDなどの低機能デバイスにおいては、その実装は事実上不可能に近く、小型のユビキタスデバイスへの公開鍵暗号の導入を難しくしている。これらの問題点を解決するためには、多倍長のべき剰余演算を必要とせず、低機能デバイスにおいても低コストで実装でき、かつ安全な新たな方式を提案し実用化する必要がある。また、現在広く普及している公開鍵暗号のもう一つの問題点として、攻撃手法のパラダイムシフトが起こった場合に対応できないという点が挙げられる。 研究代表者および研究分担者は、現在、安全性を損なうことなく暗号化に必要となる単機能素子の数および公開鍵のサイズを減らすための研究を開始すると共にそれを実現するための新たなコンセプトである個別化公開鍵暗号方式を提案している。個別化の手法、安全性の詳細および減少できるサイズなどの詳細を詰めることで、より低価格・低機能なデバイスへの実装に適した方式を実現している。この成果により、ユビキタス環境に公開鍵暗号を導入できる可能性が高まり、より安全・安心な社会の構築に貢献できることが期待できる。
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Research Products
(9 results)