2007 Fiscal Year Annual Research Report
BCC型水素貯蔵合金のナノ構造および反応機構に関する基礎的研究
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07F07567
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
秋葉 悦男 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, エネルギー技術研究部門, 主幹研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHAO Huaiyu 独立行政法人産業技術総合研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素貯蔵材料 / マグネシウム系合金 / ボールミリング / 体心立方(BCC)型構造 / ナノ構造 |
Research Abstract |
体心立方(BCC)型構造は面心立方(FCC)あるいは六方最密(HCP)型構造に比べて結晶格子内の空隙が広い構造であり、格子間位置を占有する水素が多量に吸蔵される可能性を有する。マグネシウムは軽量であることから高性能水素貯蔵材料として期待されているが、水素放出温度が高いことおよび水素ガスとの反応速度が遅いことなどが課題とされてきた。本研究分担者は、機械的合金合成法の1つであるボールミリングを用い、室温にてHCP型構造をもつマグネシウムをベースとしたマグネシウム-コバルト系およびマグネシウム-ニッケル系などのBCC型合金を合成した。 X線回折実験を用いてマグネシウム-コバルト系合金の合成プロセスを調べた結果、HCP型構造をもつマグネシウムおよびコバルトの結晶子サイズはボールミリングによりnmオーダーにまで減少することが分かった。その後、コバルトの結晶構造がFCC型構造に変化し、マグネシウムと混合されBCC型合金が合成されることが明らかになった。マグネシウム-コバルト系BCC型合金の格子定数は約0.300nmであり、結晶子サイズは1〜5nmであった。この合金は室温を含む低い温度の下でも水素を吸蔵し、30℃において2.42質量%の水素吸蔵量をもつことが確認された。 マグネシウム-コバルト系合金の格子定数から水素が占有する格子間位置の大きさは37.8pmと見積もられた。この値は室温にて水素を吸蔵放出することができる他の水素吸蔵合金のものと同程度であることが分かった。合金の格子定数を制御することで合金の水素吸蔵量、水素吸蔵放出温度および反応速度などの諸特性が向上されることが期待される。現在は、合金の構成元素および組成などを変化させることでさらに高い吸蔵量をもつマグネシウム系BCC型合金の合成を目指すと共に、水素吸蔵放出反応機構の解明を進めている。
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Research Products
(3 results)