2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を多く含むディーゼル排気が生殖系および内分泌系に及ぼす影響
Project/Area Number |
07F07582
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
鈴木 明 National Institute for Environmental Studies, 環境リスク研究センター, 主任研究員
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Keywords | ナノ粒子 / ディーゼル排気 / 精巣機能 / 妊娠 / 黄体機能 / ステロイドホルモン / Real-time PCR / 視床下部・下垂体・性腺軸 |
Research Abstract |
ディーゼル車から排出されるナノ粒子は大気環境中のナノ粒子の主要な成分であると考えられる。非常に微小な粒子であるために、健康影響に対する懸念が大きいにもかかわらず、研究報告は殆どない。特に、ディーゼル排気ナノ粒子の生殖系に及ぼす影響に関する研究は全く行なわれていない。そこで、本研究では、国立環境研究所のナノ粒子ディーゼル排気暴露装置を使用して、ナノ粒子を多く含むディーゼル排気(NR-DE)が雌雄ラットの生殖系および内分泌系に及ぼす影響を検討した。成熟雄ラット及び妊娠ラットに粒径23〜27nmにピークを持つ2.27×105〜1.36×106個/cm3のナノ粒子を含む重量22.71μg〜172.73μg/m3のNR-DEを3濃度に分けて吸入暴露を行った。その結果、NR-DEPの暴露により、オス、メス共に性関連ホルモンの変化が認められた。特に、暴露の初期に、それらの変化は発現しやすく、しかも、現行の環境基準値以下の暴露で有意な変化を示す測定項目が多かったことは注目すべきことである。オスでは血清テストステロンの増加が顕著であり、メスの妊娠期では、ストレス対応ホルモンであるコルチコステロンの増加が顕著であり、胎仔の成長に影響する事が推察された。また、除粒子暴露群でもこれらの変化が認められた。さらに、暴露動物の初代培養細胞によるin vitro実験によっても除粒子暴露動物の細胞が影響を受けることは明確となった。これらのことから、低沸点性の揮発性有機化合物(VOC)や多環芳香族ハイドロカーボン(PAHs)などがガス状でフィルターを通過し、影響を与える可能性が新たに推察された。平成19年度には、NR-DEPのラットを使用したin vivoでの暴露実験系を先行し、20年度には、各種細胞を使用したin vitro系の実験が追加され、これらの影響のメカニズムの多く部分が解明された。
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Research Products
(5 results)