2008 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化の直前および初期における急激な気候変動の解明-学術統合的アプローチ
Project/Area Number |
07F07602
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 竜彦 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, グルーリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIMENEZ-ESPEJO Francisco Jose 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 地球温暖化 / 急激な気候変化 / 学術統合的アプローチ / 海底堆積物コア / オホーツク海 / 温暖期 |
Research Abstract |
本研究の目的は,「地中海およびオホーツク海など,高緯度-中緯度に位置する気候変動に非常に影響を受けやすい海域について,長期に及ぶ古気候記録を高解像度で取得し,それらの比較をおこなう」ことである.この研究目的はさらに以下の3つの研究課題へと細分することができる.(1)地球温暖化が北半球の気候に及ぼす影響の解明,(2)急激な温暖化が人類および陸域・海域の環境に及ぼした影響の解明,(3)観測記録と地質学的なデータの比較手法の確立.今年度に実施した研究の成果は以下に要約される.西地中海の試料については最終氷期最盛期から完新世までの古気候記録の取得・解析が終了している.また,オホーツク海の試料についても分析を行った。(a)西地中海全域の試料から得られたデータの解析の結果,西地中海において,温暖な時代には水塊構造が不安定で海洋一次生産量が大きく,海洋底層の溶存酸素量が低いという特徴が見出された.一方で,これらと逆の海洋環境(すなわち,現在と同様の海洋環境)は最終氷期最終期や現在から約8000年前の時代に特徴的だったことが発見された.この研究成果は,現在の地球温暖化がさらに進んだ際に西地中海にどのような影響を及ぼすのかを知る上で非常に有用な情報である.以上の研究成果によって,研究課程(1),(2)について目的をほぼ達成することができたと考えている.(b)非破壊蛍光X線コアロガー(TATSCAN-F2)を用いたミリメートルスケールでの高解像度地球化学的古気候指標データベースの取得は既に完了しており,観測記録との比較へ向けた準備は着実に進んでいる.一方で,多くの場合において観測記録のデータベースの使用許可を得ることが難しいという問題も抱えている.この点では,研究課題(3)についてはまだ十分に達成されたとはいえず,次年度の課題である.
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Research Products
(20 results)