2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネムリユスリカの持つ極限的な放射線耐性の分子機構の解明とその宇宙生物学への利用
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07F07619
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
奥田 隆 National Institute of Agrobiological Sciences, 乾燥耐性研究ユニット, ユニット長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUSEV Oleg 独立行政法人農業生物資源研究所, 乾燥耐性研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 放射線耐性 / クリプトビオシス / 抗酸化酵素 / HSP / DNA二重鎖切断 / DNA修復 / イオンビーム / 宇宙生物学 |
Research Abstract |
ネムリユスリカ幼虫が乾燥過程で発現する遺伝子のESTデータベースをもとに、乾燥ストレスに関わる遺伝子のクローニンングを行なった。その主な内訳は、分子シャペロン(hsp27, p26, hsp60, hsp70, hsp70, hsp90)、抗酸化因子(Mn-,Zn-,Cu-SOD, Catalase, Glutathione Peroxidase)、DNA修復酵素(Photolyase,Rad23,Rad51,pms)、そしてアポトーシス関連因子(Survivin, Aif, AIP)などである。更にこれらの遺伝子の発現パターンを乾燥ストレスおよび放射線ストレスを与えた後に定量的PCRで解析を行った結果、乾燥ストレスで発現誘導された多くの遺伝子が放射線照射後にも発現誘導されていた。クリプトビオシスに誘導された幼虫が放射線に対しても交差抵抗性を示すメカニズムが明らかとなってきた。その他、新規性の高い興味深い発見としてアポトーシスの抑制に関わるとされているGelsorine遺伝子の発現が認められた。実際、ネムリユスリカでは高い放射線照射後もアポトーシス誘導はわずかにしか認められない。 放射線感受性ヤモンユスリカ幼虫とネムリユスリカ幼虫にヘリウムイオンビーム(70,100,480Gy)を照射後、コメットアッセイ法を用いてDNAの損傷と修復について解析を行ったところ、照射48時間後の損傷及び修復程度に両者で顕著な差は認められなかったが、照射96時間後はネムリユスリカの修復能がわずかだが有意に高かった。ネムリユスリカが特異的にDNA修復の能力に優れているわけではない事実を明らかにした。 国際宇宙ステーションに運ばれ、30ヶ月間、宇宙空間に直接暴露されたネムリユスリカ幼虫が回収された。80℃以上の高温に長期間曝されたにもかかわらず、水戻ししたところ蘇生した。このサンプルが受けた宇宙空間でのストレスの査定をおこなった。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Sleeping Chironomid" Polypedilum vaderplanki : morphological, genetical and biochemical tricks for survival in outer space2009
Author(s)
Gusev O, Kikawada T, Cornette R, Sychev V, Levinskikh R., Alexeev V., Malutina, L., Novikova, N.Okuda T
Organizer
9th European Workshop on Astrobiology EANA'09
Place of Presentation
ベルギー、ブリュッセル
Year and Date
20091012-20091014