2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における環境ストレス応答、耐性獲得に関する分子生物学的解析
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07F07624
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
篠崎 一雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 機能開発研究チーム, チームリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BEHNAM Babak 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | アブシジン酸(ABA) / 乾燥ストレス応答 / 遺伝子発現制御 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)は植物の乾燥ストレス応答に重要な働きを持つ。多くの植物では、乾燥ストレスにさらされた際にABAが大量に合成される。また、ABAは気孔の閉鎖に必須であり、蒸散を抑えて水分を維持する働きがある。ABAが細胞に作用することによって、細胞内シグナル伝達系が活性化され、様々な遺伝子発現が誘導される。内生ABA量の調節は植物の乾燥耐性を決定する主要な要因の一つであるといえる。ABA合成の律速段階は、カロテノイドを開裂してC18骨格のキサントキシンを生じる反応であると考えられており、9-cis-エポキシカロテノイドジオキシゲナーゼ(NCED)によって触媒される。シロイヌナズナにはNCED遺伝子が5つ存在することがわかっており、その内の一つであるAtNCED3のみが乾燥ストレスによって発現が誘導される。さらに、nced3変異体では乾燥時のABA合成が抑制され、乾燥耐性も低下することから、AtNCED3が乾燥応答時のABA合成における主要な酵素であることが示された。本研究ではNCED3遺伝子の乾燥ストレスによる転写誘導の分子メカニズムを明らかにするためにNCED3遺伝子の転写誘導に関わるプロモーターの解析と制御に関わる転写因子の同定を進めている。昨年度に引き続き、プロモーター:GUSレポーターの遺伝子をシロイヌナズナに導入して乾燥による誘導に関わるプロモーター領域の解析を進めた。乾燥ストレスによる誘導に関わる領域の特定が進んだ。その領域には転写因子に特有の認識配列が見いだされた。また、公的なマイクロアレイ解析データベースを用いてNCED3遺伝子と発現の類似した発現プロファイルを持つ転写遺伝子をネットワーク解析により選択した。現在、これらの遺伝子の破壊系統、発現抑制系統をリソースセンター等から取り寄せており、NCED3遺伝子の発現を解析する計画で進めている。
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