2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07625
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
光原 一朗 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物科学研究領域・植物・微生物間相互作用研究ユニット, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIAO F. 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域・植物・微生物間相互作用研究ユニト, 外国人特別研究員
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Keywords | 過敏感反応 / プログラム細胞死 / シアン / エチレン / タバコモザイクウイルス / 病害抵抗性 |
Research Abstract |
いもち病菌接種イネにシアンを添加することでいもち病による病徴が軽減されるとともに、いもち病菌の増殖も抑制されることが明らかとなった。シアン及びエチレンの前駆体であるACC添加にも同様の効果が認められたが、エチレン発生剤であるエテホン処理では効果が認められなかった事から、ACC経路で発生するシアンこそがイネいもち病抵抗性に重要である事が示唆された。 タバコおよびイネを材料として、微量拡散法およびピリジン・ピラゾロン法を基本としたシアン内生量の簡便な定量法を確立した。この方法を用いて、TMVを接種したタバコ植物およびいもち病を接種したイネにおける、シアンの内在量及びエチレン放出量を測定したところ、健全状態でのシアン内生量はきわめて微量であった。また、ACC添加およびシアン解毒酵素(シアノアラニンシンターゼ)の阻害剤処理によって、タバコ植物のシアン内生量が増加することを確認した。病原体感染におけるシアンレベルの上昇は僅かであったが、これは病原体に感染し過敏感反応を起こしている細胞の割合が低いためであると考えられる。そこで、TMVに対する抵抗性遺伝子N遺伝子を持つタバコ植物にTMVのN遺伝子に対応するエリシター成分であるP50遺伝子を誘導的に発現させることにより、誘導をかけた部分全てで同調的に過敏感反応を誘導できる系を確立した。今後、この系を用いて過敏感反応におけるシアンレベル変動を詳細に解析してゆく。 また、遺伝子ノックアウト法によりACC経路のエチレン・シアン生成及びエチレンシグナル伝達が攪乱された形質転換植物を作製するための遺伝子導入ベクターを構築した。これらのベクターを導入して、ACC経路を改変した植物体を作成中である。
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