2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネいもち病菌の病原性に対する環境要因の影響の解析
Project/Area Number |
07F07626
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本山 高幸 The Institute of Physical and Chemical Research, 環境分子生物学研究室, 専任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAJUL Md. Islam 独立行政法人理化学研究所, 環境分子生物学研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | イネいもち病菌 / Magnaporthe oryzae / Pyricularia oryzae / 環境適応 / 病原性 / 農薬 / DNAマイクロアレイ / ポストゲノム |
Research Abstract |
イネの最重要病害であるイネいもち病の発生は環境要因に大きく影響されるが、そのメカニズムについての知見は乏しい。本研究では、温帯と熱帯のイネいもち病菌の株の間の違いについて注目しつつ、様々な環境ストレスがイネいもち病菌の病原性に与える影響について分子レベルで明らかにすると同時に、優れたイネいもち病防除法の開発の基礎となるデータを得ることを目指す。温帯由来のイネいもち病菌として、日本で単離され、形質が安定している北1株を選択した。環境要因として、重金属(硫酸銅)、生体成分(アミノ酸)、と土壌微生物由来の二次代謝産物(ポリオキシン)を選択してイネいもち病菌の病斑形成に対する影響を見た。これらを土壌に加え、イネを移植し、18日間栽培した後に、イネいもち病菌を噴霧接種し、6日後に観察したところ、硫酸銅、ヒスチジン、セリン、メチオニン、リジンで病斑形成の抑制効果が認められたが、ポリオキシンでは有意な防除効果は認められなかった。それぞれの環境要因が病原性に与える影響を更に解析するため、イネの葉にイネいもち病菌を化合物と共にパンチ接種する実験を行った。イネの表皮細胞を傷つけた後に、化合物とイネいもち病菌胞子の混合溶液を置き、6日後に病斑を観察したところ、ヒスチジン、セリン、メチオニン、リジンではほとんど病斑形成の抑制効果は認められなかった。一方、ポリオキシンでは有意な防除効果が認められた。以上の結果から、アミノ酸とポリオキシンが異なるメカニズムでイネいもち病菌の感染抑制効果を示すことが示唆された。
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