2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質相互作用を制御する天然生理活性物質に関する研究
Project/Area Number |
07F07627
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新家 一男 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, バイオメディシナル情報研究センター, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HWANG Ji-Hwan 独立行政法人産業技術総合研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | タンパク質相互作用 / 蛍光補完法 / 天然化合物 / スクリーニング / 癌 |
Research Abstract |
ヒトゲノム計画が終了し、遺伝子のコードするタンパク質の相互作用情報が次々に発見されてきている。それらの中には、これまで医薬品開発のターゲットとして利用できなかった因子も多く含まれている。我々は、これらのタンパク質相互作用情報を薬剤スクリーニングに利用するため、新しい概念のスクリーニング系を構築する計画をたてた。タンパク質相互作用を検出するための様々な技術があるが、よりハイスループットに化合物スクリーニングが行えることを目的に、蛍光タンパク質を応用した蛍光補完法(Fluorescence complementation assay)を採用した。これは、2つに分割した蛍光タンパク質を、相互作用する各々のタンパク質に融合させ、それぞれのタンパク質が相互作用した時に空間的に一つの蛍光タンパク質として蛍光を発する原理を応用したものである。ターゲットとして癌に関わる数個の因子について、スクリーニング系の構築を行った。蛍光補完法として細胞を用いた系と、小麦胚を用いた無細胞系タンパク質合成法により調製したタンパク質を用いたin vitroの2つの系を構築した。細胞系では、まず2種類のスプリット蛍光タンパク質融合タンパク質をコードするcDNAを、MultiGateWayシステムを用いて一つのプラスミド上に挿入する。このプラスミドをトランスフェクションし、薬剤添加24時間後の蛍光値を指標に化合物のタンパク質相互作用制御効果を検討した。またin vitro蛍光補完法では、小麦胚を用いた無細胞タンパク質合成システムで調製したスプリット蛍光融合タンパク質を混ぜた後、18時間以後の蛍光値を指標にサンプルのタンパク質相互作用制御効果を検討した。 癌をターゲットとした数個のスクリーニング系を用いて、それぞれのアッセイ系に対し、放線菌およびカビを中心とした微生物代謝産物について約10万サンプルについて検討した結果、プロテアソームに関与する因子の相互作用を阻害する数個のヒットを得た。現在、これらのヒットサンプルに関して、活性物質の単離・構造決定を進めているとともに、細胞を用いた抗腫瘍効果の可能性を検討中である。今年度、我々はin vitro蛍光補完法では、週に5万サンプルのアッセイを行えるハイスループットスクリーニング系を確立した。平成20年度は、約10個のスクリーニング系を展開する予定である。
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