2007 Fiscal Year Annual Research Report
陶器質有孔虫の生鉱物化過程の解明:微量元素分配との関係
Project/Area Number |
07F07701
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
北里 洋 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, プログラムディレクター
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DE Nooijer L. 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 外国人特別研究員
|
Keywords | 有孔虫類 / 古環境指標 / 精密化学実験 / 石灰化過程 / 化学分析 |
Research Abstract |
本研究は、深海底より多産する陶器質有孔虫について、環境中の安定同位体、微量元素が殻形成時にどのように殻に取り込まれ、固定されるのかを追跡することを通じて、殻に残された安定同位体、微量元素が環境のプロキシーと成りうるかどうかを検証することを目的とする。研究目的を遂行するために、環境を制御した飼育実験を行い、殻形成を実験室で観察するとともに、成長した殻中の同位体、微量元素を測定した。1)精密飼育実験:IFREEが開発した精密飼育実験装置を用い、温度、塩分、pHなどを制御した飼育実験を行った。飼育実験の材料は、千葉県安房小湊、神奈川県逗子・三崎、静岡県下田に生息するCyclogyra sp.を用いた。この種類は円柱が巻いた外形をした陶器質有孔虫で、成長末端では常に殻を形成している。このため、石灰化過程の観察が行いやすく、また成長部位を特定しやすい。2)石灰化過程の観察:石灰化過程を追跡するために有孔虫細胞内の化学環境の変化をモニターする必要がある。酸素についてはポルフィリン錯塩を用いたオプトードフィルムを用いた。CaについてはFluo-3溶液を用いて蛍光観察を行うことによって視覚化した。pHの定量は、試薬HPTCを細胞に導入し、石灰化に伴って起こる細胞内小器官ごとのpHを蛍光スペクトルの色から定量した。これらの手法に基づいて行った観察の結果、石灰質有孔虫は、陶器質殻有孔虫もガラス質殻有孔虫も、いずれも石灰化を起こす部位のpHが9.5と高くなることを明らかにした。3)成果の発表と議論:研究成果は、平成19年9月の第9回国際古海洋シンポジウム(上海)で発表した。
|
Research Products
(1 results)