2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 康三 Kyoto University, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 合林 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 五言詩 / 七言詩 / 楽府 / 李延年 / 漢武帝 / 建安文学 / 陶淵明 / 帰去来辞 |
Research Abstract |
中国古典詩は五言、七言が基本的な詩型として定着しているが、それはどのようにして成立し、確立したか、始原にさかのぼって考察を進めた。先秦・漢の書物に引かれている詩、それは断片的なものが多いが、それらを収集し、そこに見られる性格を抽出していく作業から着手した。この考察を通して明らかになったことは、民間の歌謡、のちに楽府として文字化されたものが大きな役割を果たしていること、その過程には漢の武帝、李延年などが、突出した貢献をなしていることである。五言、七言の萌芽はこれまで考えられていたよりも早く、秦漢にはすでにさまざまな試みがなされていた。文人の詩として五言詩、七言詩が主要な詩型として広く行き渡るまでには、長い、そして緩やかな変転があったが、その成立に至る過程を明らかにすることは、中国古典詩の源を探る上で大きな意義がある。また一方で陶淵明の「帰去来辞」の本文と序の関係についても新たな見解を提起した。従来、序は前書きとして注視されることがなかったが、仔細に読解してみると、本文で書かれている陶淵明像とはまるで対蹠的な人間像を作者陶淵明は故意に描き出そうとしていることがわかった。すなわち帰田の決意に到達するまでの自分を主体性のない、無能で無用な人物として描き出し、それによって本文との対比を鮮やかに作り出している。これも文体の分析に繋がる研究の一環である。
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Research Products
(3 results)