2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07707
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
澁谷 博孝 Fukuyama University, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PENG Qing zhong 福山大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 植物内生菌 / ウコン / クルクミン / デメトキシクルクミン |
Research Abstract |
平成19年度では、アカネ科植物キナの木(Cinchona ledgeriana)のPhomopsis属内生菌が、代表的なキナアルカロイド(キニーネ、キニジン、シンコニジン、シンコニン)の相互変換能を有することを明らかにした。この知見から、キナの木の内生菌が、キナアルカロイドの生合成に深く関与していることが判明した。 引き続き平成20年度は、まずショウガ科植物ウコン(Curcuma longa)根茎の内生菌を分離した。そして、それらのITS1-5.8SrDNA-ITS2領域の遺伝子解析から同定を行った。続いて、ウコン根茎の主成分で抗酸化活性をはじめ種々の生理活性を示すクルクミンを基質とした、ウコン内生菌による微生物変換を検討した。その結果、遺伝子解析によりDiaporthe属と同定された内生菌が、2%Glucose-Yeast Extract-Peptone培地中でクルクミンから1個のメトキシル基が除去されたデメトキシクルクミンヘ変換することが分かった。ウコン内生菌のクルクミン変換能については、はじめての例である。 本研究を始めるにあたり、われわれは一つの研究仮説「植物内生菌は、その生息環境下に宿主植物の植物第二次代謝産物が存在することから、それら植物第二次代謝産物に対する代謝酵素が賦活されている」を立てた。 そして、本研究で得られた知見を総合して考察すると、2種の薬用植物であるキナの木およびウコンの内生菌は、それらの第二次代謝産物であるキナアルカロイドやクルクミンに対する代謝能を有することが判明した。この事実は、今後新規な有用物質の開発研究に大きく寄与するのみならず、植物と微生物間の共生システムの解明に資するものである。
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Research Products
(1 results)