2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本の漢文学、特に江戸時代の漢詩、漢文の創作と詩文理論、詩文批評。また、それらと中国の古典文学について比較研究を行う
Project/Area Number |
07F07710
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
WU Hongchun Kokugakuin University, 文学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU Jianci 國學院大學, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 漢文学 / 漢詩 / 齋藤拙堂 / 宋詩の受容 / 杜詩の受容 |
Research Abstract |
江戸時代の代表的詩人斎藤拙堂の詩歌創作について、その中国唐代の詩人杜甫と宋代の詩歌受容を糸口に次の2編の研究論文を執筆し、発表に備えている。 1.「江戸時代の詩人斎藤拙堂の杜甫の影響受容について」 主な観点としては、拙堂の杜甫の影響受容は次の5つの面に現れている。 (1)点化次韻:杜甫の詩文本の緻密な研究、(2)忠君愛民:杜甫の詩における忠愛精神の賞揚、(3)曲折拗救:杜甫独特の詩格の受容、(4)細致入微:杜甫の詩の細かい描写能力の習得、(5)興象渾融:杜甫の詩の心境との融合、(6)沈郁頓挫:杜甫の詩の全体的な風格の体得。 2.「江戸時代の詩人斎藤拙堂の詩歌の中国宋詩の影響受容について」 主な観点としては次のとおり。拙堂の詩歌は題材、内容から芸術表現に到るまですべて中国の宋詩の影響を多く受けている。これは、題材、内容については、主に題材の豊富で多様なこと、とりわけ人文的テーマと社会に有益であるべきとの志に現れている。また、芸術表現の上では、主に声律の破棄、議論を以て詩となすこと、才能学問を以て詩となすこと、典故を自在に扱い、次韻を良くし、分韻詩及び字句篇法等の方面に現れている。宋詩の受容の原因としては、当時の政治的背景及び詩壇の雰囲気からの影響の他に、その創作がまず散文から入って詩に到ったこと、師弟関係、及び詩友の論評の期待・賞賛も重要な要素である。
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