2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07711
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 康三 Kyoto University, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 紅 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 王維 / 自然 / 空間意識 / 無限 / 悲観 / 楽観 / 夏目漱石 / 草枕 |
Research Abstract |
日本における唐詩の選本、訳注、研究書などを調査し、それによって日本における唐詩受容の実態とその展開の様相を調べた。 唐詩のなかでもとりわけ日本において愛好された王維を取り上げ、受容の様相を調べた。夏目漱石「草枕」には王維を代表とする自然と同化する生き方、哲学が端的にあらわれている。それは現代社会がもたらす精神的疲弊から脱出するための一つの方法となっている。そこに近現代における王維受容の性格が認められる。 また王維に関する日本の本には中国から伝来した古本が6種あり、静嘉堂文庫の蔵する宋麻沙本が最もすぐれる。訳注には1923年の喜多尾城南による『王維氏評釈』を嚆矢として7種がある。そのうち都留春雄、入谷仙介、小林太市郎、原田憲雄、小川環樹らの著は注目に値する。研究書としては小林太市郎、入谷仙介、伊藤正文の書がとりわけ学界に大きな影響を与えている。 以上を経て、現在『王維詩校評』を執筆中である。また王維の詩歌における空間意識を無限、通、深の三つの点から分析した。さらに王維の詩歌にみられる悲観と楽観についても論文を準備中である。
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Research Products
(5 results)