2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造のためのソリューション・パルス・プラズマの診断
Project/Area Number |
07F07712
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 治 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
APETROAEI Neculai 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | ソリューションプラズマ / プラズマ診断 |
Research Abstract |
本年度は、ソリューションプラズマを利用した反応場形成およびその制御を目指し、プラズマ中で発生するラジカル・電子等の活性種の挙動を発光分光法により調査した。 実験としては銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)の3種の針状電極を用い、耐熱性や耐腐食性の高いガラス製の反応容器を使用した。プラズマは電極間にパルス電圧を印加して発生させた(電圧1.6kV、周波数14kHz、パルス幅2μs)。光ファイバーによりプラズマからの発光を分光装置内に取り込み、発光分光スペクトルの時間分解計測を行った。 銅電極を用いた場合、発光分光スペクトルには水素ラジカルや酸素ラジカル、銅原子などのスペクトルを観察することができたが、それらの発光強度は時間依存性を示さなかった。これはタングステンを用いた場合でも同様であった。しかし、タンタルを用いた場合のみ、プラズマ発生初期過程にスペクトルの時間依存性が見られた。この現象はプラズマ発生のメカニズムを紐解く上で、重要な知見であると考えられる。 さらに、本研究では、発光分光分析から電子温度を算出することに成功した。電子温度はプラズマ特徴づけるパラメーターの一つで、プラズマの反応性を左右する要因と考えられる。ここでは局所熱平衡を仮定し、電子のエネルギー分布がボルツマン分布に従うものとし、算出を行った。その結果、タングステンを電極とした場合では電子温度は約5000Kであるごとがわかった。このことから、ソリューションプラズマ中では比較的「熱い」プラズマが発生していることがわかった。 本研究によりソリューションプラズマをナノ反応場として利用する上で、基礎的な知見を得ることができた。
|