2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07713
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
金子 敏明 High Energy Accelerator Research Organization, 計算科学センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BREDENSTEIN AXEL 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 外国人特別研究員
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Keywords | LHC / QCD / 摂動論的場の理論 / Next-to-leading order / Monte-Carlo generator |
Research Abstract |
研究の2年度目として、量子色力学におけるpp→ttbb過程のnext-to-leading order(NLO)補正の解析が完了した。その結果は、クウォーク・反クウォーク散乱からの寄与に関する2編の論文と、グルーオン散乱からの寄与に関する1編の論文(投稿中)として発表した。これらの解析の物理的結果として、LHC実験によるヒッグスボソン発見のために重要な生成過程であるpp→ttH過程に対して、この過程による補正はきわめて大きく、バックグラウンド過程として主要な寄与を与えることを示した。さらにこの解析に基づいて、モンテカルロ・イベントジェネレータを作成した。これにより、実験データに含まれるバックグラウンド反応の寄与を信号から分離することができ、ヒッグスボソン生成に関する実験解析は、より確実かつ高精度なものとなる。 この解析を通して、次元正規化法に現れる赤外発散項の新たな取扱法を開発した。これは今後のNLO解析の効率化に大きく役立つものと期待される。また、数値的に安定なテンソル積分のリダクションや、質量正規化法から次元正規化法への変換のためのソフトウェアライブラリも整備した。これらはGRACEシステムやFeynArt/FeynCalc/LoopToolsシステムなどと組み合わせることにより、将来のNLO自動計算の主要な構成要素となると考えられる。 これらの成果に関して、より精密な結果と技術的詳細について今後発表の予定である。
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Research Products
(4 results)