2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07719
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
依田 芳卓 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門非弾性散乱チーム, 主幹研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAEED Kamali-Moghaddam (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 外国人特別研究員
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Keywords | スピントロニクス / 巨大磁気抵抗 / 磁気メモリー / 薄膜 / トンネル磁気抵抗 / 国際研究者交流 / スウェーデ |
Research Abstract |
MRAM(Magnetoresistive random access memory)は高速な読み書き速度、不揮発性、低消費電力といった優れた特徴を有しており、近い将来での商用化か強く期待されているメモリーである。その主要な構成要素であるMTJ膜について界面1層だけの磁性情報を、同位体選択性がある放射光による核共鳴散乱という特異な手法を用いることにより、選択的に調べることに成功した。MTJ膜は非常に薄い誘電体膜(1nm~1.5nm)で隔てられた2つの強磁性膜より構成されている。この薄い誘電体膜はアルミニウムやマグネシウムなどの金属膜を蒸着した後、プラズマ酸化により生成される。その際、酸化が過ぎると強磁性膜が酸化され、足りないと金属が残ってしまう。今回、FeCoB/MgO/FeCoBという構成をもつMTJ膜を共同研究を行っているKTH(スウェーデン王立工科大学)が作製した。核共鳴散乱は57Feに選択的に共鳴するため、知りたい界面上の一層のFeだけを57Feで蒸着した試料を酸化時間や誘電体膜の厚さの条件をかえて用意した。測定は大型放射光施設SPring-8でおこなった。異なる作製条件の試料で、特異な磁性を示す時間スペクトルを得ることができた。詳細な解析が現在進行中である。MTJ膜の特性を埋もれた界面の原子レベルで理解することは単に物性的関心にとどまらず、より密度の高いメモリー、より信頼性の高いメモリーを構築する上で極めて重要であり、産業界ひいては一般社会に大きな寄与を与えることができると期待される。
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Research Products
(5 results)