2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒的不斉合成を鍵段落とする生物活性天然有機化合物の合成法の開発
Project/Area Number |
07F07731
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LECTARD Sylvain 千葉大学, 大学院・薬学研究員, 外国人特別研究員
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Keywords | 生理活性物質 / Dysiherbaine / 全合成 / 不斉水素化反応 / β-ヒドロキシーα-アミノ酸 / オレフィンメタセシス反応 / グリセルアルデヒド / イミン |
Research Abstract |
天然から得られる生理活性物質は一般に入手困難な極微量成分であることが多く,それらの利用,活性の本体の解明には化学合成による量の供給が不可欠である.本申請課題では受け入れ研究者が開発した合成方法論および効率のよい合成デザインにより,物質供給に耐えうる生理活性物質の合成法の開発を目的として研究を行う.活性天然物としては不斉炭素を多く含む小分子Dysiherbaineを選び,これらの効率的な全合成を目指す.Dysiherbaineは小さな分子ながら連続した不斉中心を含む複雑な構造を有している.特にシスー縮環型ヘキサヒドロ[3,2,b]ピラン環構造を特徴とし,ピラン環の全ての置換基はシス配置を取っている.これまでの合成法は4位立体化学を選択的に導入することに成功していない.これらの問題の解決を含めて全合成を検討する. 受け入れ研究者はこれまで立体選択的な不斉水素化反応を開発している.この方法で合成可能なβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸を鍵化合物とするこれまでにない合成経路を検討した.実際に不斉合成を行うと立体選択性が悪く、種々検討したがこの経路は難しいことが判明した。そこで合成経路を若干変更し、当初の目的である3環性中間体にいたる経路を検討した。これまでに2環性中間体を立体選択的に得ることに成功した。すなわち、文献既知のグリセルアルデヒドから出発し、イミンに変換後、ジアステレオ選択的ビニル化反応により炭素鎖を延長し、これのアミノ基を2級アミンに変換後、二重結合を有するα-オキシカルボン酸と縮合した。これをオレフィンメタセシス反応に付し、7員環の中間体を得た。これの二重結合をエポキシ化後、分子内水酸基による開環反応により5員環を形成し、2環性中間体とした。この中間体を更に変換し、3環性中間体を経て、Dysiherbaineの全合成を達成する予定である。
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