2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒的不斉合成を鍵段階とする生物活性天然有機化合物の合成法の開発
Project/Area Number |
07F07731
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LECTARD Sylvain 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 立体選択的合成法 / β-ヒドロキシーα-アミノ酸 / 不斉水素化反応 / 不斉アジリジン化反応 / 神経毒アミノ酸 / 7員環化合物 / Dysiherbaine / オレフィンメタセシス |
Research Abstract |
天然から得られる生理活性物質は一般に入手困難な極微量成分であることが多く,それらの利用,活性の本体の解明には化学合成による量の供給が不可欠である.本申請課題では受け入れ研究者が開発した合成方法論および効率のよい合成デザインにより,物質供給に耐えうる生理活性物質の合成法の開発を目的として研究を行う.Dysiherbaineは1997年ミクロネシア産海綿から得られた新規異常アミノ酸で,神経毒として単離構造決定された.シスー縮環型ヘキサヒドロ[3,2,b]ピラン環構造を特徴とし,ピラン環の全ての置換基はシス配置を取っている.これまでの合成法は4位立体化学を選択的に導入することに成功していない.これらの問題の解決を含めて全合成を検討する. 受け入れ研究者はこれまで立体選択的な不斉水素化反応によるβ-ヒドロキシーα-アミノ酸の効率的な合成法を開発している.この方法を鍵段階とする全合成を計画したが,予期反して立体選択性が不十分で使えないことがわかった.そこで,この方法の代替の方法として不斉アジリジン化反応を開発し,これを鍵段階とする合成法を検討した.グリセルアルデヒドから得られるα,β-不飽和アルデヒドを基質として不斉アジリジン化反応を行い,反応剤制御でアジリジンを得た.これを還元,N-メチル化後,位置選択的に2位でアジリジン環を開環し,ジオール体を得た.これをチオカーボネート化し,ホスフィンで処理するとオレフィンが生成する.N保護基を除去後,2-ヒドロキシ4-ペンテノイックアシッドをN基に導入し,得られたジエンをオレフィンメタセシスに付すと7員環中間体が得られる.これを立体選択的なジヒドロキシ化反応に付し,5員環と6員環のエーテル環を形成すると,当初計画の重要中間体になる.この辺を現在検討中である.
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