2008 Fiscal Year Annual Research Report
異なるイネ系統における亜鉛効率向上に関わる生理学的及び遺伝子学的要因の解析
Project/Area Number |
07F07743
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
マティアス ビスバ Japan International Research Center for Agricultural Sciences, 生産環境領域, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FREI Michael 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸化的ストレス / 非耐性遺伝子型 / 組換え型近交系耐 / マイクロアレイ / dehydroacerbat / monodehydroacorbete還元酵素 |
Research Abstract |
本研究では、アジアを中心に世界各地で問題となっているイネの葉に酸化的ストレスをもたらす亜鉛欠乏、土壌感染および高オゾン濃度によるストレス耐性要因の解明を行った。 フィリピンの圃場にて、亜鉛欠乏条件下で遺伝子型による酸化ストレス耐性要因の解明を行った。材料は、非耐性遺伝子型であるIR74、そしてIR74と在来種であるJalmagnaの交配によって得た組換え型近交系耐性を付与したRIL46を用いた。分析の結果、亜鉛欠乏下において、高濃度のアスコルビン酸が酸化性ストレス耐性に効果を示し、ストレス下において、植物を保護する形質も示唆された。一方、高活性の抗酸化酵素は耐性に寄与せず、逆にストレス環境下の非耐性遺伝子型に対して高い抗酸化活性を示した。また、鉄欠乏条件下においても同様の結果を得られた。RIL46ではほとんど症状が現れなかったにも関わらず、IR74では顕著な症状が見られた。また、RIL46において、リンゴ酸及びdeoximugineic acidの高い排出傾向を確認した。 また、イネにおけるオゾン耐性に関する遺伝子学的生理学的要因の検証を行った。前回の研究で確認されたオゾン存在下での酸化ストレス耐性に関するQTLsを元に生物学的解析およびマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングを行った。その結果、耐性遺伝子型が、dehydroacerbateとmonodehydroacorbete還元酵素の活性を高め、アスコルビン酸塩オキシダーゼ活性を低下させることが分かった。また、Hohenheim大学との共同研究によって、植物はオゾン存在下で、リグニンとフェノール含量を増加したが、in vitro条件下では消化率が減少することが確認された。 これらの知見は、ストレス環境下でも生育が可能なイネを作出するのに、有効的であると考えられる。
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Research Products
(4 results)