2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07764
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 宏 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MILES Nathan Grant 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 通し回遊魚 / ウナギ / サケ / 嗅覚機能 / 分子生物学的解析 / 電気生理学的解析 / 嗅覚記銘関連遺伝子 |
Research Abstract |
通し回遊魚(ウナギ・サケ)は、淡水と海水を行き来して異なる環境に適応するために進化してきたと考えられるが、生理機能がどのように進化してきたかに関しては不明な点が多い。本研究では、通し回遊魚が生息場および繁殖場を選択する時などに重要な役割を演じていると考えられている嗅覚機能に焦点を絞り、以下の2種類の生理学的解析を行い、通し回遊魚の嗅覚機能がどのように進化したかを明らかにする。 1)分子生物学的解析:サケ科魚類において母川記銘・回帰時に遺伝子発現量が増加することが明らかになっているサケ嗅覚記銘関連遺伝子(SOIG)に類似する遺伝子を、ウナギの嗅上皮から単離し、性成熟に伴う発現量の変化を解析し、サケ科魚類のSOIG発現量の変化と比較し、分子生物学的に進化過程を解析する。 2)電気生理学的解析:ウナギの淡水域と海水域の生息場と繁殖場から淡水と海水を採集し、それらの水に対する嗅覚電図(EOG)を解析し、サケ科魚類のEOGと比較し、電気生理学的に進化過程を解析する。 本年度は、ニホンウナギからのSOIG類似遺伝子の単離を行った。ニホンウナギ嗅上皮由来の一本鎖cDNAを鋳型に用い、SOIGの塩基配列を参考に作成したプライマーでRT-PCRを行った。その結果、SOIGに対し98%と高い相同性を示す遺伝子断片(393 bp)を得た。これより、ニホンウナギの嗅上皮には、SOIGと高い相同性を示す遺伝子(EOIG)が発現している事が示唆された。次に、5'および3'RACE法によるEOIG cDNAの全塩基配列の決定を試みた。しかし、既知のEOIG断片では、その塩基配列の短さからRACE法に用いるプライマーの作成箇所が限定されてしまい、5'および3'側の増幅産物を得る事が出来なかった。そこで、EOIG断片より作成したDNAプローブを用い、ニホンウナギの嗅上皮より作成したcDNAライブラリーからの全EOIG cDNAの単離を試みた。その結果、EOIG断片の塩基配列を含むと予想される全長約2,500 bpのインサートを持つクローンを単離した。現在はそれらクローンの塩基配列を決定している。
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Research Products
(1 results)