2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07772
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 茂 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILLIAMS Guy Darvall 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 南極底層水 / 斜面下降流 / アデリー海岸 / マックロバートソンランド |
Research Abstract |
南極底層水は世界で最も高密度の水塊であり、その循環は深層大循環を担っている。南極底層水は、主として沿岸陸棚域での海氷生成により生じた高密度陸棚水が、沖側の高塩分水を取り込みつつ、陸棚斜面を流れ下ることで形成される。本研究では、これまで比較的研究の進んでいない南極沿岸域であるアデリー海岸沖およびマックロバートソンランド沖に着目し、そこでの斜面下降流と南極底層水の形成過程について検討する。 まず、アデリー海岸沖における南極底層水の形成過程について理解するため、1998年にオーストラリアにより行われた大陸陸棚斜面に於ける係留観測結果の解析に着手した。この系は、底面から300m上までの流速計および水温・塩分計からなり、陸棚上(500m深)・斜面上(1500m深)・および斜面下部(3000m深)の3箇所に設置され、それらの位置関係から高密度水の斜面下降状態を推定することができる。それぞれの系の結果について、潮汐周期およびスパイク状の変動を除去したあとの時系列には、顕著に数日周期の変動が確認された。また、陸棚水の水塊特性には顕著な季節変動が見出され、南極底層水形成の季節依存性が示唆された。 次に、マックロバートソンランド沖での底層水形成を考えるために、Marsland, et. al.(2007)でアデリーランド沖に対して作成されたポリニアモデルをもとに、このモデルを改良して対象領域に適用するための準備に着手した。このモデル改良のために、モデルの作成者であるオーストラリア研究協力者との研究打ち合わせを実施した。これに必要な地形・強制力データなどの移送、およびハードウェアの整備を行い、モデル運用のための準備を行った。
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