2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07772
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 茂 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILLIAMS Guy Darvall 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 南極底層水 / 斜面下降流 / アデリー海岸 / マックロバートソンランド |
Research Abstract |
南極底層水は世界で最も高密度の水塊であり、その循環は深層大循環を担っている。南極底層水は、主として沿岸陸棚域での海氷生成により生じた高密度陸棚水が、沖側の高塩分水を取り込みつつ、陸棚斜面を流れ下ろことで形成される。本研究では、これまであまり研究の進んでいないインド洋区の沿岸域に着目し、斜面下降流の挙動と南極底層水の形成過程について検討する。アデリーランド沖における下降流の構造を把握するため、2001年1月および2004年10月に実施された船舶観測セクションのデータを解析した。アデリー谷を下る主要な下降流に加えて、より東側に位置するメルツ谷を下る二次的な下降流の存在が明らかになった。この下降流は低塩陸棚水に起因していると考えられ、周囲の水塊変質に及ぼす影響はアデリー谷における降下流のものに比べて小さい。昨年度より解析を継続している1998年の係留系の連続データとあわせ、底層水に関しては、ロス海に起因するやや高塩な性質が、これらの下降流のイベントにより断続的に変質していることが分かった。また、前年度に引き続き、ポリニアにおける高密度水形成過程に関する検討を行った。昨年度試行した数値モデルに加え、東京大学で新たに開発された数値モデルとの比較を行った。係留観測、人工衛星観測に基づく海氷生成量との比較から、メルツポリニアでは新たなモデルのほうがより現実的であることが示された。マックロバートソンランド沖については、陸棚域における係留データが得られなかったため直接的な比較はできないが、新たな数値モデルの採用が有効であると考えられる。
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