2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における伝統概念再考-PPPとしての越後妻有大地芸術祭を事例に
Project/Area Number |
07F07773
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
縣 公一郎 Waseda University, 政治経済学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KLIEN S. 早稲田大学, 政治経済学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 伝統 / 伝承 / 越後妻有大地芸術祭 / 地域活性化 / PPP |
Research Abstract |
1.平成20年6月から8月の間に十日町に様々なアクターとインタビュウーを行い、現地の伝統の保存に関する活動を観察した。十日町市に無形文化財として指定された保存会の会合に参加し、メンバーに伝承について質問した。現地の保存会に年寄りが多く、新しく加盟するメンバーが少なく、過去と伝統の実施が多く変わってきたグループがほとんどだった。保存会の多くは、伝統を口承に伝承させ、資料があまり存在しない。伝統が昔と変化していない主張が多いが、実際に段々変わってきたケースが多いことが実証された。 2.伝統概念に関する参考文献をまとめた上に、伝統の論理を越後妻有の事例にどのような形で当てはめるかを検討した。社会における習慣として解釈する「伝統」の本質を有形の結果より流動的な過程として理解し、事例のフィールドワークを行った。越後妻有大地芸術祭のどの作品を取り上げ、現地の伝統がどのように参考され、伝承されるかに注目を当て、その作品に関わった作家さん、住民、スタッフなどにインタビュウーを行った。住民による伝統の伝承と芸術祭における伝統の伝承の比較を試みて、芸術祭に伝統の消費と商品化が顕著で、地域の活動にはその側面が希薄。適用する伝統概念として伝統が参考され、有形化され、商品化されることで地域の伝統が外部のものに認知されることで伝統そのものが再発見され、形成する事が越後妻有芸術祭のワークショプで実証された。地域の保存会にも外部による影響も明確であることが分かり、伝統が領土を超えたり、実施される文脈が変わったり、継続的に変化しつつ状況に調整されることが実証された。 3.他に芸術祭に取り上げられる「恊働」「結い」などについて聞き取り調査で住民の感想をうかがい、上記の表現が住民に馴染みのないような感想が多かった。地域活性化の事業であるにも関わらず、企画しているアクターと地域の間のコミュニケーションが順調に取らわれていないケースが多く、本格的なパートナーシップが稀である。地域が自発的にイニシアティブを取るのが少ない。
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Research Products
(4 results)