2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における伝統概念再考-PPPとしての越後妻有大地芸術祭を事例に
Project/Area Number |
07F07773
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
縣 公一郎 Waseda University, 政治経済学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KLIEN Susanne 早稲田大学, 政治経済学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 伝統 / 地域の活性化 / PPP |
Research Abstract |
「現代日本における伝統概念再考-PPPとしての越後妻有芸術祭を事例に」の準備作業として、伝統概念の理論が今までどのように議論、定義されているかの文献を収集渉猟し、このプロジェクトでどのような伝統概念を適用するかという視座を確認した。Shilsなどの静態的な定義とは対照的に、伝統が継続的に変化しつつ、柔軟に状況に反応するというhybridの体質を想定した視座に基づいて論文を作成する。 実証的な面では、現代の日本に伝統がどのように活用されるかを調査した。1月の節季市を事例に、「ちんころ」という米の粉で作られる子犬の縁起物が、現在どのように作られ、売られ、受け取れるかを調査した。関係者にインタビューを行い、ちんころをつくる二つの会に参加し、ちんころが売られる節季市で買う人々と意見交換した。この縁起物が、元来親から子供へ心を伝える道具であったものから、飾りのデザインオブジェへ変容してきたことが明確となった。もう一つの聞き取り調査の結果として、十日町市内の市民より長岡市、新潟市など遠方からの買い手の方が多いことが、判明した。縁起物としての機能が過去にも現在にも特徴的に確認されたが、ちんころの外面、デザインが多少変化してきた点も、調査から判明した。 加えて、ちんころをマスコットとして取り上げ、経済的に停滞している駅通りの地区を活性化の目的として店で飾ったり、エコバックを作ったり、枕に載せたりといった企画にて、筑波大学の蓮見研究室が最近多様な活動を展開している。地域外のチームが地域活性化のイニシアチブを行うことの有効性を調べ、駅通りに住んでいる市民、店主の声を聞いた。今後は、6月に学会で発表に向い、現在調査の結果をまとめ、論文の作成に取りかかる段階へと移行する。
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Research Products
(1 results)