2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌におけるMyc遺伝子の増幅度とそのメカニズム、病理学的意義の解明
Project/Area Number |
07F07777
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 章史 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
POPOVSKA Savelina Lyubenava 金沢大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | Myc / gene amplification / ERBB2 / breast cancer / FISH / Western blot / touch smear specimen |
Research Abstract |
86例の乳癌について、塗沫細胞を用いたFISHによるMyc遺伝子の増幅と、Western blotによるMyc蛋白の過剰発現に検討を行った。Mycのシグナル数:セントロメア8のシグナル数=増幅比とし、増幅比2.0以上を高度増幅、0.8-1.2を軽度増幅、Myc遺伝子のコピー数6以上を高度ポリソミー、3-5を軽度ポリソミーとした。結果は高度増幅10例、軽度増幅15例、高度ポリソミーが58例、軽度ポリソミー21例、ダイソミーが25例、FISH不成功例4例であった。Myc蛋白の過剰発現は16例に認められ、遺伝子増幅と蛋白過剰は有意な相関(p<0.01)をしめした。 フォルマリン固定・パラフィン包埋乳癌組織75例を用いた免疫染色では、ERBB2蛋白の過剰発現は16例そのうち14例にERBB2遺伝子の増幅をみとめた。ERBB2遺伝子とMyc遺伝子の同時増幅は2例に認められたが、両者に有意な相関はなかった。 組織切片を用いたFISHでは、核の一部が切り取られる(nuclear truncation)によって、染色体polysomyによる遺伝子のコピー数の増加と真の遺伝子の増幅の区別がしばしば困難であった。本研究では乳癌29%にMycの増幅が見られ、その60%が軽度増幅であることがあきらかになった。Myc遺伝子の増幅と免疫染色で検索した蛋白の過剰発現は必ずしも一致しないことは周知の事実であるが、本研究ではWestern blotで検索したMyc蛋白の発現が遺伝子増幅とよく相関することが明らかになった。 MycとERBB2の同時増幅は2例、2.3%に見られたのみであった。
|