2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい炭素-水素結合活性化触媒の開発と有機エレクトロニクス材料合成への応用
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07F07778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOUFFARD Jean 名古屋大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属触媒 / 炭素-水素結合 / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
芳香環-芳香環結合からなるビアリール骨格は、有機エレクトロニクス材料の基本骨格として最も重要なもののひとつである。有機金属化合物と有機ハロゲン化物とのクロスカップリング反応は、この分子群に対する最も信頼性の高い合成手法であるが、これを凌駕する真に有用な基本的方法論の開拓は合成化学者に課せられた重要な課題である。本研究では、芳香環炭素-水素結合を活性化し、ビアリール骨格を形成する新しい分子触媒を開発する。さらに、開発した触媒的直接変換法を用いて、新しい有機エレクトロニクス材料の合成へと応用展開する。 H21年度は、前年度に見出したNi触媒を用いた有機ホウ素化合物のカルボニル化合物への付加反応に焦点を絞り検討を行った。まずはニッケル上の補助配位子として最も適したものを調査し、含窒素ヘテロ環カルベンが配位子として最も効果的であることを見出した。本反応は、活性化されていないケトンにおいても速やかに反応することが明らかとなった。また、NMRと熱量計を駆使した速度論実験を行い、反応機構の全貌を明らかにすることができた(Organic Letters 2009, 11, 4410)。 また、上記の研究と並行する形で、共役ポリマーの基板上へのパターン化技術の開発に取り組んだ。これまでいくつかの芳香環連結型クロスカップリングを開発してきたが、ここで2つのカップリング成分を二官能性とするならば、有機エレクトロニクス材料の花形ともいうべきポリパラフェニレン類にアクセスできる。しかしながら、共役ポリマーの低溶解性は合成・精製段階のみならず基板上での展開の際の大きな問題となっている。今回、シクロヘキサン環を埋め込んだモノマーを利用し高分子化反応を行うという新手法によって、共役ポリマーの効率的合成と基板上へのマイクロパターン化に成功した(Macromolecules 2010, 43, 1425)。
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Research Products
(3 results)