2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋底生動物の着定量のマルチスケール時空間変異性とその要因
Project/Area Number |
07F07781
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 隆史 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUNROE Daphne Marie 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 海洋底生動物 / 加入 / 岩礁潮間帯 / フジツボ / 空間分布 / 集中分布 / 成長 / 幼生 |
Research Abstract |
岩などの硬い基質上をすみかとする底生動物では、加入個体の分布が基質の微小な割れ目に集中することが知られている。しかし、このような特定の微地形への加入個体の集中が水深や加入密度に依存してどのように変化するかは、ほとんど明らかになっていない。そこで、北海道の岩礁潮間帯に生息するキタイワフジツボを材料に、岩表面の割れ目に対する加入個体の集中度が水深、年、加入密度に依存してどのように変化するかを明らかにした。 解析には北海道南部の垂直な岩礁に設置した永久方形枠(縦1m、横50cm)で2004年から2008年の期間に収集されたデータを用いた。方形枠内の岩表面は毎年7月に無生物化し、その3ヶ月後に永久方形区内のさまざまな潮位に設置した80コドラート(各25cm^2)を写真撮影した。この写真を用い、定着個体の分布とその定着場所(岩表面の割れ目とそれ以外)を評価した。 その結果、加入個体が割れ目に集中する程度は高潮位(水深が浅い)ほど高くなることがわかった。また、加入個体が割れ目に集中する程度は、加入密度が高くなるほど低くなることがわかった。さらに、高潮位では、割れ目に見られた加入個体は、割れ目の外の個体より体サイズが大きいことが分かった。 これらの結果は、本種の幼生は定着するときに岩の割れ目を選好するが、その選好性は割れ目の内外で成長量に差の出る高潮位ほど強い可能性を示唆している。このことは、観察された加入個体の割れ目への集中度の潮位による違いは幼生の適応的な定着場所選択の結果である可能性があることを示している。
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Research Products
(3 results)